2025年5月、海洋学部水産学科中村研究室の学生らが、当センター網取施設前でサンゴの一斉産卵を観察しました。今回産卵観察をしたサンゴの仲間はミドリイシ属です。ミドリイシ属は、卵と精子を別々に放出するのではなく、バンドルと呼ばれる卵と精子のかたまりを水中に放出します。サンゴから放出されたバンドルは、ゆっくりと海表面まで浮上し、波にあらわれ、卵と精子に分かれます。そのため、受精は海表面で行われます。
サンゴの一斉産卵が起こった翌朝には、付近に何とも言えない生臭さが漂うと言われています。観察にあたった学生らは、サンゴの産卵観察でバンドルが夜の海中を幻想的に漂う様子に感動し、翌朝はその生臭い臭いを記憶に刻んだようでした。
近年、西表島ではサンゴの白化現象によるサンゴの減少が危惧されています。今回産まれたサンゴたちが、環境変化に負けず、亜熱帯海域の美しい彩りと生物の賑わいを取り戻す立役者になってほしいと願うばかりです。


