マイクロ・ナノ研究開発センターの次田特定助教の論文が「progress in organic coatings」に掲載されました

マイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)の次田将大特定助教が筆頭著者を務めた論文がこのほど、材料科学のコーティングやフィルム分野の学術誌『progress in organic coatings』の電子版に掲載されました。同誌は、世界中の学術誌を影響力や信頼性で4段階にランク分けした中の最上位に当たるQ1ジャーナルであり、年間の平均引用数を示すインパクトファクターは6.5です。

次田特定助教は、有機材料として導電性高分子のポリピロールと無機材料としてセラミック素材の一種であるジルコニアをワンステップでハイブリッド合成し、微粒子が水溶液中に均一に分散する“コロイド分散化”の状態とすることに成功。研究成果を、オープンアクセス論文「One-step chemical oxidation preparation of polypyrrole-zirconia colloidal dispersions in aqueous solution」としてまとめました。

ポリピロールは酸化することで導電性を帯びる導電性高分子であり、本研究で生成した液体をインクとして用いて皮膚に塗ると、導電回路となって生体に電気信号を送ることが可能となります。次田特定助教は、「コロイド分散化する条件は、一つひとつ可能性を潰していく地道な作業により導き出されます。時間と手間がかかり苦労しましたが、MNTCの目標の一つでもあるQ1ジャーナルに掲載され、とてもうれしく思います。また、今回は論文掲載料を支援してもらえる本学の制度を利用し、オープンアクセス化できました。より多く人の目に触れ、産業化につながることを期待しています」と話します。また、共著者である大学院工学研究科2年次生(指導教員=情報理工学部・前田秀一学部長)の兵藤哲さんは、無機微粒子や分散液といった自身の専門性を生かして研究に参画。湘南キャンパスだけでなく伊勢原キャンパスや他大学の実験装置も借用して活用し、分析を担当しました。論文掲載を受けて、「権威ある学術誌に自分の名前が共著者として載るのは大変名誉なこと。今回の研究に貢献できたことはとても誇らしく、自信につながります」と話しています。