東海大学と国際原子力機関(IAEA)による短期研修プログラム「IAEA原子力安全基準研修コース」を、3月17日から21日にかけて品川キャンパスで実施しました。同コースは、本学とIAEAが2018年度に締結した原子力安全教育分野における実施協定に基づき実施しているもので、原子力関連企業の社員や原子力規制機関の職員、原子力工学を学ぶ大学生・大学院生などを対象に、毎年開催しています。対面とオンラインで開催し、日本をはじめアジア諸国から約50名が受講しました。

期間中は、IAEAの定めた国際的な安全原則や緊急事態への対応手順、安全のためのリーダーシップと管理、過酷事故への対応プログラムなどについて、IAEAのマリア・ニコラキ氏(基準・安全指針開発セクションおよび原子力安全・安全保障調整セクション セクション長)ら8名の専門家が講義。19日には原子力規制庁の笠川勇介氏が「原子力規制検査制度の概要」について、21日には本学国際原子力研究所広瀬研吉客員教授が「東京電力福島第一原子力発電所の事故とIAEAの安全基準」をテーマに登壇。広瀬客員教授は2011年に発生した東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて再整備されたIAEAの安全管理基準や対策などについて解説しました。研修の最後には、対面での受講者に対してIAEAから参加証明書が授与される修了式を実施。ニコラキ氏から対面での受講修了者一人ひとりに証明書が手渡されました。
また21日には、「IAEA原子力安全基準研修コース10周年記念式典」を開催しました。IAEAと本学の関係者をはじめ、文部科学省、経済産業省、原子力規制庁など関係各省や日本原子力産業協会、日本原子力研究開発機構、電気事業連合会らが列席。若杉圭一郎教授(工学部)が司会進行を務め、学校法人東海大学の山田清志理事があいさつし、本学とIAEAとの関わりについて10年以上前にさかのぼるエピソードなどを紹介。次にニコラキ氏が関係各機関や関係者の尽力に対して謝辞を述べ、工学部の山本佳男学部長が、本学とIAEAとで共催している「IAEA国際スクール」と本コースの2プログラムについて概要の説明とこれまでの経過を報告しました。
続いて、文部科学省研究開発局原子力課長の有林浩二氏、経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課国際原子力調整官の安良岡悟氏が登壇し、原子力人材の育成や安全管理研修の場として本学とIAEAとの取り組みに対するさらなる期待を述べました。最後に特別ゲストとしてこれまで10年にわたり本学と2プログラムを支えてきたIAEAのドミニク・デラットレ氏に対し、国際原子力研究所の近藤駿介所長が感謝状を贈呈。ドミニク氏は10年間の歩みを振り返り、感謝と今後への期待を込めたメッセージを語りました。稲津敏行副学長が閉会の辞を述べ、終了後は学食に移動して懇親会を実施。ニコラキ氏の発声で乾杯し、出席者が交流を深めました。






