ウェルビーイングカレッジ(WBC)では9月17日に、WBC+WBCO FD・SD研修会「デンマーク帰国講演 海外拠点TUECの価値とデンマークの大学のあり方・生活様式から学べること」を開催しました。教養学部、児童教育学部、体育学部、健康学部、スポーツ医科学研究所が属するWBCでは、毎年カレッジ内の文理融合、相互交流推進を目的に教職員によるFD研修会を毎年開催しています。今回は、今年3月までデンマークにある本学ヨーロッパ学術センター(TUEC)の所長を務めていた健康学部の堀真奈美教授の帰国記念講演として企画。教職員合わせて約100名が参加し、健康学部の菅野和恵学部長の進行のもと、オンラインで行われました。
初めにWBCプロボストの庄司一子教授(児童教育学部)が、TUEC設立の経緯や堀教授のプロフィルを紹介。「気候変動や紛争など社会情勢が不安定になる中、人々のウェルビーイングが課題となっています。堀先生のデンマークでのご経験は、私たちに多くの示唆を与えてくださるものになると思います」と語りました。堀教授は、デンマークが世界の幸福度ランキングで2位に選出されている理由として、脱化石燃料や洋上風力など環境に配慮した施策などを紹介。デンマークと東海大との歴史や、TUCEで行われている各学部学科の研修プログラムや教育支援・コーディネート機能について説明し、「これほどの規模の海外拠点施設は、ほかの大学に例を見ない唯一無二の存在だと思います。より価値を高めるためには、今後も多くの学生や教職員に利用してもらいたい」と語りかけました。また、現地での研究活動を振り返り、博士課程の大学院生の活躍や効率的な事務作業のレギュレーション、プライベートを大切にするワークライフバランスを自身の体験談から紹介。「デンマークには、“誰しも失敗するし、小さなことでイライラしない”という国民性を感じました。日本では今後人口が減っていく中で、一人あたりの仕事量が増えると思いますが、今までと同じようにやろうと考えるとイライラしてしまうでしょう。作業の取捨選択やクオリティの許容範囲を広げることで心の安寧を保ち、日本人ならではの丁寧な仕事に取り組めるよう心がければ、20年後には日本がデンマークを抜く可能性もあると思っています」と話しました。
講演後には教職員から、デンマークの教育・研究環境や芸術文化など多岐にわたるテーマの質問が挙がり、活発に意見を交わしました。閉会にあたって児童教育学部の山本康治学部長が講演への謝辞を述べ、今年3月に初めて実施した同学部のデンマーク研修の概要を紹介。「国際交流活動を積み重ねていくことは大学と学生の成長に必要だと思います。今回の講演をきっかけに、TUCEの教育支援による教育活動の輪を広げていければ」と語りました。