世界的な椅子研究家として知られる本学の織田憲嗣名誉教授が所蔵するコレクションなどで構成される「織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ」(主催:Bunkamura、 特別協力:北海道東川町、織田コレクション協力会、旭川家具工業協同組合)が、12月2日から2026年1月18日まで渋谷・ヒカリエホールで開催されています。北欧を中心とした近代家具のコレクターで、専任教員在職中は芸術工学部でデザインに関する教育・研究に取り組んできた織田憲嗣名誉教授のコレクションから、選りすぐりの逸品が紹介されるもの。会場構成は、北海道東海大学卒業生で、世界で活躍する建築家の田根剛氏(ATTA – Atelier Tsuyoshi Tane Architects)が担当しています。

ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナー(1914-2007)は、ミッドセンチュリー期のデンマークデザインの範疇にとどまらず、20世紀の家具デザイン史における代表的なデザイナー・家具職人です。現在でも高い人気を誇る『ザ・チェア』(1949)や『Yチェア』(1950)をはじめ、生涯で500脚以上の椅子を世に送り出しました。展覧会は、織田名誉教授が学術協力し、コレクションを有する北海道東川町の協力を得て、椅子約160点、その他家具などが一堂に集められた国内でかつてない規模のウェグナー大回顧展です
開会前日の12月1日には、織田名誉教授と田根氏のトークセッションと内覧会が行われ、同展担当学芸員の吉川貴子氏(Bunkamura ザ・ミュージアム)を聞き手に、織田名誉教授と田根氏がウェグナーの魅力や見どころなどを語り合いました。ウェグナーとの出会いについて、「美しさに引かれて椅子を購入し、腰をかけてみるとその機能性の高さや素晴らしさに虜になった」と織田名誉教授。「膨大な図面や作品のほんの一部ながら、世界で最も規模の大きなウェグナー展になったと思います。『ファーストチェア』と呼ばれ、幻とされる17歳の時の椅子も復元しました。ぜひ、彼のデザインの系譜に触れてください」と話しました。
北海道東海大学在学中に織田名誉教授のもとで学んだ教え子でもある田根氏は、「100年から150年かけて育った木の声を聞きとりながらデザインを重ねていったウェグナーのメッセージをぜひ体感してほしい」と語りました。また、学生時代に織田名誉教授がコレクションの椅子を体育館に並べ、学生たちに座らせてくれたエピソードも披露。その後、学生たちで研究室や倉庫に大事に積み上げて収納したことを思い出しながら、「あの日の椅子と今日、東京の渋谷の真ん中で再び出会うことになるとは想像もできませんでした。ウェグナーと織田先生の人生が重なり合うのを見る思いで、難しい会場構成に向き合いました」と話しました。
トークセッションと内覧会後には開会セレモニーが開かれ、本学の木村英樹学長、濱本和彦副学長(教育担当)、山田清志元学長をはじめ、同展の開催に協力した文化社会学部北欧学科の柴山由理子准教授、北海道東海大学卒業生で旭川家具工業協同組合専務理事の杉本啓維氏と匠工芸の業天昭人氏らが出席し、織田名誉教授や田根氏、来場者らと懇談しました。







