東海大学国際原子力研究所では8月7日に、湘南キャンパスで日本原子力学会新型炉部会との共催による「新型炉シンポジウ2026 新型炉の国内外開発状況と将来ビジョン」を開催しました。本研究所は2020年の設立以来、原子力の平和利用を目指した研究の促進を図るとともに、高度な専門性を持つ人材の育成に力を注いでいます。その一環として国際原子力機関(IAEA)と連携し、原子力関連企業の職員や原子力工学を学ぶ学生らを対象にした研修「IAEA原子力安全基準研修コース」を毎年開催しているほか、近隣自治体から届く環境試料の放射線計測の依頼にも応えるなど、地域貢献活動を展開しています。本シンポジウムは、低炭素社会の構築や政学的リスクの増大によるエネルギー供給の不安定化を背景に、新たな「戦略的ソリューション」として位置づけられる新型炉関連の研究・技術開発への理解と将来ビジョンを共有する目的で開催したものです。

当日は、原子力関連の研究機関や企業の専門家、近郊の大学で原子力工学を専門とする教員や研究室の学生ら95名が参加しました。コーディネーターを務める堺公明教授(工学部)が開催までの経緯を紹介。稲津敏行学長補佐(理系担当、工学部教授)が、「逆風の中でも、原子力工学に関する歴史を持つ本学では今後も真摯な取り組みを続けていきたいと考えます。本会が皆さまの役に立ち、盛会となるよう祈念します」とあいさつしました。続いて、新型炉部会会長の山野秀将氏(日本原子力研究開発機構)が登壇し、「大学等と連携して20年先の長期を見据えた原子力技術の将来を担う人材育成が重要です。海外で次世代小型原子炉の開発機運が高まりを見せる中、日本では新型炉に関する戦略ロードマップも公表されました。海外と日本の動向を共有し、2050年以降のわが国の原子力技術を担う若手と共に活発な意見交換をしたいと思います」とあいさつしました。
続いて、日本原子力研究開発機構の専門家3名が各国の新型炉開発の状況や高速ガス炉開発の課題と現状、高速炉の社会実装に向けた課題などについて講演し、参加者から活発な質疑を通して意見が交わされました※。また、本学卒業生の根本将矢さん(日本原子力開発機構、工学部2022年度卒)ら5名の若手専門家によるパネルディスカッション「新型炉がもたらす2050年の日常を描いたビジョン」では、山田由美氏(三菱FBRシステムズ(株))のリードにより、社会の将来像から逆算して評価する「バックキャスティング的思考」の必要性や人材育成・技術継承などの課題をめぐって意見を交換。最後に新型炉部会副部会長の碓井志典氏(三菱重工業株式会社)があいさつに立ち、「国内外の新型炉開発の状況や次世代の原子力利用の多様性など、多くのご意見をいただきました。“2050年”は各国でもさまざまな目標達成に向けたポイントとして設定されており、将来の原子力技術担う若手の皆さんと共にビジョンを描くのが本学会の役目と考えます」と締めくくりました。シンポジウム終了後は意見交換会を実施し、さらに議論を深めました。
◆講演のテーマと登壇者は以下のとおりです。
「新型炉の国外開発状況」大高雅彦(日本原子力研究開発機構)
「高温ガス冷却炉の国内開発状況」深谷裕司(同)
「ナトリウム冷却高速炉の国内開発状況」江沼康弘(同)









