「ウラジオストク航海」を終えた望星丸が清水港へと帰港しました

東海大学の海洋調査研修船「望星丸」を使い、8月7日から始まった「平成30年度海外研修 ウラジオストク航海」の船上プログラムがこのほど終了しました。日本からは、本学をはじめ北海道大学、新潟大学、近畿大学の学生(計64名)が参加し、望星丸に乗船して8日に北海道・留萌港を出港。ロシア・ウラジオストクでロシア・極東連邦大学、サハリン国立総合大学の学生(計39名)が乗船した後、静岡市・清水港を目指して航海を続け、15日午後1時に清水港へと帰港したものです。
「ウラジオストク航海」は、文部科学省の平成29年度大学教育再生戦略推進費「大学の世界展開力強化事業 ~ロシア、インド等との大学間交流形成支援~」に採択された本学の教育プログラム「ライフケア分野における日露ブリッジ人材育成 ―主に極東地域の経済発展を目的として―」の一環。日露間の関係深化と経済発展に資する人材の育成を目指しており、「ウラジオストク航海」では、「望星丸」で留萌港からウラジオストク港、ウラジオストク港から清水港までを計8日間かけて巡りました。日露の学生たちはともに日本語・ロシア語講座や各種ワークショップ、学生会議などに協働で臨み、船内での交流を深めてきました。

日本からの研修団は8月10日にウラジオストク港に入港すると、さっそく極東連邦大学を訪問。ロシア側の研修団と合流し、現地でワークショップに取り組みました。11日午後8時のウラジオストク港出港後は、望星丸船内での洋上講座をはじめ、日露学生フォーラムも実施。「日露両国のライフケア:未来への提言」をテーマに据え、日露のライフケア向上にかかわるさまざまな視点から「医師の過労死予防」や「ストレスによるアルコールとたばこの過剰摂取を治療するための両国への医療ツーリズム」、「健康診断受診者を増やし健康人口を増加させる方策」などについてグループごとに議論を深めてきました。清水入港を翌日に控えた14日に船内でプレゼンテーションも行い、それぞれのアイデアを発表。さらに同日夜には日本人学生を対象とした修了式も実施し、国際教育センターの山本佳男所長が学生一人ひとりに修了証を授与しました。

清水港入港にあたっては本学関係者らが出迎え。望星丸船内では検疫や入国審査が行われるとともに、日本人学生はそのまま帰路につくことから下船した日露の学生たちが別れを惜しみながら、記念撮影をする姿が見られました。「留萌に集合してからの9日間は長いようで、一日一日が早く過ぎていきました。最初は初対面の相手ばかりで緊張もありましたが、お互いの意見を聞き合い、コミュニケーションを深めることでチームワークを育めたと思います。研修を通して未知の分野への見識も深まりました。今後はこの成果を周囲に伝えていきたい」と木島練音さん(国際文化学部国際コミュニケーション学科4年次生)。尹載善さん(情報理工学部情報科学科1年次生)は、「船酔いもしましたが、限られた空間での合宿生活は新鮮な体験でした。船上での星空観測で見た天の川は忘れられません。望星丸での旅はほかの船旅ではできない経験ばかり。チャンスがあればまた乗りたい」と充実した表情で語りました。また、極東連邦大学2年のヤーザワ・エカテリーナさんは、「船内でのプログラムは興味深いものばかりでした。学生フォーラムでも日本の学生たちと意見を交わしながら交流を深められたと思います」と望星丸船内での生活を振り返るとともに、「日本での研修にも大きく期待しています。国際関係や日本文化などさまざまなことを学びたい」とこれからはじまる日本での研修に向けた抱負を語りました。

研修団を引率した国際教育センターの山本所長は、「航海を通して海は穏やかで、予定していたプログラムもすべて行えました。特に学生フォーラムでは1日半という限られた時間で、学生たちが協力し合ったことでどれも中身の濃い発表となりました。また、本学の学生にとっては、ロシア人学生はもとより、北海道大学、新潟大学、近畿大学と国内の他大学の学生とも親交を深めてくれました。これもプログラムに参加いただいた各大学の協力があってのことであり、感謝の気持ちでいっぱいです。さらに、ウラジオストクでは来月に予定されている東方経済フォーラムの準備で厳戒態勢がとられる中、短い時間でも充実した研修を実施できました。長年培われてきた本学と極東連邦大学の交流の歴史があってのことだと感じています。プログラムを通じて、日露両国の関係がいっそう強まったと感じています」と成果を語りました。航海の様子や研修の詳細は特設サイトでご紹介しています。ぜひご覧ください。

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