課程資格教育センターの篠原准教授が鹿島美術財団の研究助成に採択されました

課程資格教育センター博物館学研究室の篠原聰准教授が5月24日に、公益財団法人鹿島美術財団の「美術に関する調査研究」助成に採択されました。同事業は、美術史や美術館学、絵画に関する研究を支援し、日本の文化の向上や発展に寄与することが目的で、財団が委嘱した推薦者や美術関係者の推薦を受けた応募の中から、委員会での選考を経て採択されます。今年度は篠原准教授のほか、本学教養学部卒業生の野城今日子さん(成城大学大学院文学研究科博士課程後期/東京文化財研究所アソシエートフェロー)を含む63件が採択されました。

篠原准教授は、「日本近代における浮世絵受容に関する研究―系譜的研究を中心に―」のテーマで採択されました。庶民の文化として江戸時代に発展した浮世絵は、明治時代の後期、日露戦争期を過ぎると急速にすたれていったといわれています。しかし実際には、浮世絵師とその弟子たちは明治期にも日本画家として活躍していました。今回の研究では、浮世絵師や美人画家として活躍した鏑木清方とその弟子たちを「浮世絵画派」と位置づけて分析。大正期に鏑木が提唱した「新浮世絵」の概念について、同時代に興隆した「新南画」や「新版画」を視野に入れつつ検証し、日本近代における浮世絵受容の実像を解明することを目指します。

今後の研究の方向性や可能性について篠原准教授は、「西洋風の絵画や日本の伝統的な画流派が美術界で隆盛を極めた近代には、鏑木らの絵画は一段格下の絵画として位置づけられる傾向にあり、これまであまり研究されてきませんでした。今回の研究では、その鏑木と弟子たちにフォーカスを当てることで、江戸時代以来の浮世絵の系譜が近代にも美術界に受け継がれ、美人画だけでなく、社会画や社会風俗画といった新ジャンル確立の原動力となっていった姿を解明したいと考えています。この研究によって、日本の近代美術史像がこれまで考えられていた以上に多彩なものであったことを示したい」と話しています。

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