マイクロ・ナノ啓発会(Tµne)の第11回学術講演会を開催しました

東海大学マイクロ・ナノ啓発会(Tµne)の第11回学術講演会を、8月24日に札幌キャンパスで開催しました。総合大学である本学の強みを生かし、幅広い分野の研究者が互いの研究を知り、分野をこえて意見を交わす機会として、マイクロ・ナノ研究開発センターの所属教員が中心となって年2回程度開いているものです。今回は、医学部・理学部・工学部・生物学部・国際文化学部の教員と学生約100名が参加しました。

開催にあたっては稲津敏行副学長(理系担当)があいさつし、マイクロ・ナノ研究開発センターの喜多理王所長(理学部物理学科)がTµneのこれまでの活動と成果を紹介。続いて、工学部と医学部、生物学部、国際文化学部の教員8名がそれぞれの研究について講演しました。各講演では、サケの内臓を用いた機能性物質の開発(木原稔教授・生物学部海洋生物科学科)や-100℃を超える過酷な環境下に置いても生存できるヌマエラビルの発見と環境耐性に関する研究(鈴木大講師・同生物学科)、遺伝子改変ゼブラフィッシュを用いて筋ジストロフィーやALS(筋萎縮性側索硬化症)の発生メカニズム解明を目指す研究(三橋弘明准教授・工学部生命化学科)、熱ストレスと造精機能に関する研究(佐藤陽子教授・生物学部生物学科)、ヨガが自律神経の調整に与える効果に関する研究(塚本未来講師・国際文化学部地域創造学科)などが紹介されました。

続いて行った基調講演では、北海道大学電子科学研究所教授の根本知己氏が、「2光子顕微鏡による生体イメージングの基礎と応用」と題して講演。独自に開発したパルスレーザーを利用して生体組織を生きたままの状態で深くまで観察できる「2光子顕微鏡」のメカニズムや、本学の岡村陽介准教授(工学部応用化学科)が開発したナノラッピングシートを使った共同研究の成果などについて語りました。

講演終了後には、教員と学生によるポスターセッションと本プログラムに協賛を受けている株式会社ニコンインステックによる光学機器の展示、参加者による情報交換会も実施。優秀な発表を行った学生5名には「ベストポスター賞」が贈られました。情報交換会の最後には、北海道キャンパス長の網野真一教授があいさつし、「経営的な視点で見ると、研究者の皆さんはそれぞれがコアコンピテンス(他者を圧倒するレベルの能力)を持つ人々の集団です。その強みを生かし、さらに広げるためには今回のようにさまざまな分野の人が語り合う催しこそがふさわしいと感じました。こうした機会が、両キャンパスのさらなる連携のきっかけになることを期待しています」と語りました。

参加者からは、「普段接することのない異分野の研究者との意見交換はとても刺激的で、研究へのモチベーションも高まった」「豊富な知見を持つ幅広い分野の先生方から研究への助言を受ける貴重な機会になりました。参加してよかったと心から思います」との声が聞かれました。

企画運営を担当した岡村准教授は、「Tµneは総合大学の利点を最大限に生かした共同研究の実現につなげることを目的としており、今回も札幌キャンパスで展開されている研究分野の幅広さを知り、コラボレーションの可能性を実感することができました。すでに参加者同士で連携に向けた意見交換も始まっており、ここからキャンパスをこえた共同研究が一つでも多く生まれることを期待しています。こうした有意義な会の実現に親身になって協力してくださった札幌キャンパスの北夕紀准教授(生物学部海洋生物科学科)をはじめとする諸先生方や職員の皆さんに心から感謝しています」と語りました。

「ベストポスター賞」受賞者は以下の通りです。
河野圭丞さん(北海道大学大学院農学院生命フロンティアコース 1年次生、2018年度生物学部海洋生物科学科卒業)
「生活環境の改変がメダカの腸内細菌叢に及ぼす影響」
佐野友紀さん(2018年度北海道大学大学院農学院生命フロンティアコース修了、2016年度生物学部海洋生物科学科卒業)
「配合飼料がクロソイ幽門垂の組織形態に与える影響」
高橋泰伽さん(北海道大学電子科学研究所)
「PEO-CYTOPナノシートを応用したマウス生体脳のin vivo二光子イメージング法の改良」
松本航太郎さん(生物学部海洋生物科学科4年次生)
「結氷期のサロマ湖における海氷中および水中の糖類濃度」
浅羽建汰さん(大学院工学研究科応用理化学専攻1年次生)
「ナノ粒子担持ナノファイバーの創製とにおい分子包接能評価」

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