「IAEA講師による原子力の国際安全基準研修コース」を実施しました

国際教育センターと国際原子力機関(IAEA)による短期研修プログラム「IAEA講師による原子力の国際安全基準研修コース」を、3月8日から11日までオンラインで実施しました。原子力関連企業の社員や規制機関の職員、原子力工学を学ぶ学生を対象としてIAEAと本学が2018年に締結した「原子力安全教育分野における実施協定」に基づいて開講したものです。例年は高輪キャンパスを会場に行ってきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて初めてオンラインで実施。国内外から約50名が受講しました。

期間中は、IAEAの定めた国際的な安全原則や緊急事態への対応手順、地震や気象などの影響を考慮した原子力施設立地の選定方法、過酷事故への対応プログラムなどについて、IAEA原子力安全・セキュリティ局のドミニク・デラットレ氏をはじめとする9名の専門家が講義。2011年に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて再整備が進んでいる最新の安全管理基準や対策について、その全体像を紹介しました。

最終日の3月11日には、東日本大震災の犠牲者への追悼の念を込めて講義前に全員で黙とう。その後、日本の原子力安全規制体制にフォーカスを当て、原子力規制庁の講師が日本の検査システムの改革状況と緊急事態への対応のガイドラインについて講義し、最後には、国際教育センターの広瀬研吉教授が「原子力の国際的枠組み」を紹介しました。講義終了後の修了式では、本学の山田清志学長とIAEAのデラットレ氏があいさつ。山田学長は、「新型コロナウイルス感染症が蔓延する中にありながら、この研修が成功裏に終わったことをうれしく思います。IAEAと本学の協力によって生まれた研修の成果が皆さんの将来に役立つことを期待しています」と語りました。 本プログラムの運営を担当した広瀬教授は、「IAEAと本学は本研修コースのほかにも『IAEA国際スクール 原子力・放射線安全リーダーシップ』を実施しており、コースの受講経験者が今回のプログラムを海外から受講するなど、オンライン開催ならではのメリットも確認できました。また今回初めて原子力規制庁から講師を迎え、日本国内の状況について学ぶ機会を設けられるなど着実に発展してきていると実感しています。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓をもとに、IAEAは年々安全基準の見直しを進めており、日本国内でもその基準に基づいて安全確保に取り組むことが法律で明記されるなど、研修の重要性は年々高まっています。本学にとっても大きな意義のある活動を今後もさらに充実させていきたい」と話しています。