「IAEA国際スクール 原子力・放射線安全リーダーシップ」を開催しました

東海大学では国際原子力機関(IAEA)との共催で、2月22日から3月4日まで「IAEA国際スクール 原子力・放射線安全リーダーシップ」を実施しました。本研修は、日本・アジア諸国の原子力・放射線利用に関わる若手・中堅の研究者、技術者を対象に開講し、ケーススタディやゲーム形式の演習などを通じて、原子力安全のためのリーダーシップ能力を開発することを目的としています。本スクールは、IAEAと本学が2018年度に締結した原子力安全教育分野における実施協定に基づき実施されており、今回が2回目となります。当初対面での実施が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、全編オンラインで開催。IAEAのスタッフと工学部原子力工学科教員らがファシリテーターとして運営に参画し、日本原子力開発研究機構、日本原子力産業協会の支援を得て参加者を募り、日本およびアジア諸国から約30名が受講しました。

3月1日には湘南キャンパス19号館で、日本原燃株式会社代表取締役の増田尚宏氏による講義を実施。スクール受講者にオンラインで配信し、会場では大学院工学研究科の大学院生と工学部原子力工学科の4年次生約60名が聴講しました。2011年に発生した東日本大震災時に東京電力福島第二原子力発電所で所長を務めていた増田氏は、震災発生時の現場の様子や被害拡大を防ぐためにとった対応を説明。津波の被害で電源系統が故障し原子炉の除熱ができなくなり、電力が喪失していない施設から手作業で約9kmのケーブルを引き海水ポンプを復旧して全ての原子炉を冷温停止した対応事例を振り返り、「40年以上会社に務め、職員一人ひとりの人間性や得手・不得手を理解していたからこそ、緊急事態に誰に何を頼むべきか瞬時に判断することができました。チームワークが何よりも重要だと改めて感じましたし、チーム一体となって立ち向かったからこそ震災を乗り越えられたと感じています。皆さんも将来は人の上に立ち組織を動かす日が来ると思いますが、新入社員のときの気持ちを忘れず、すべての人の安全を重視し役割分担を与えることでチームに一体感を持たせることがリーダーの役目であることを覚えておいてください」と語りかけました。

最終日の閉講式では、本学を代表して吉川直人副学長(国際担当)があいさつ。「本学は20年に国際原子力研究所を開設し、原子力の平和的利用に貢献する人材の育成や研究に取り組んでおり、今後も本スクールを継続的に開催していきたい。コロナ禍が続いていますが、次回は日本でスクールを開催し皆さんとお会いできることを願っています」と締めくくりました。