動物行動学研究室


伊藤 秀一 教授

●動物園動物ストレスに配慮した飼育法に関する研究
●動物の能力やコミュニケーションに関する研究
●産業動物の行動・アニマルウェルフェアに関する研究

「アニマルウェルフェア(AW)」は「動物の欲求が満たされていることによる幸福な状態」のことで、近年では動物飼育を行う際には必須の考え方です。AWは動物を利用しないということではなく、飼育動物のストレスにできるだけ配慮するなど、人と動物の関係を考える分野です。近年、動物飼育を行う際の法律になっている国も多く、グローバルスタンダードになりつつあります。AWを考えるためには、動物たちがどんなことに苦しみや幸せを感じているのかを科学的に知る必要があります。しかし、ヒトと動物は直接会話することができません。そこで私たちの研究室では、動物の行動を詳細に観察して、動物を理解し、AWに配慮した飼育法を考えています。大学で飼育している動物だけでなく、動物園でのチンパンジーや赤色野鶏などの研究など人と関わる動物に関して広く対象としています。

動物の能力、正常行動、ストレス反応、環境エンリッチメント、ストレス、肉用鶏、地鶏、動物福祉、行動、ストレス感受性、遺伝子多型解析、オキシトシン、動物園動物、動物園の役割、ストレス関連ホルモン、社会的親和性

●熊本市動植物園のクロサイの繁殖行動に関する研究
●動物園における屠体給餌が動物園動物の行動に及ぼす効果
●熊本市動植物園で生まれたチンパンジーの成長に関する研究
●肉用鶏の品種と環境がAWレベルに及ぼす影響
●繁殖豚のフリーストール分娩が行動に及ぼす影響

アニマルウェルフェアは産業動物だけでなく、動物園動物の飼育でもとても重要な考え方です。世界的に必要性が指摘されていますが、日本ではまだまだ研究が進んでいません(関西よりも西ではAWをテーマにした研究室はほとんどありません)。動物と人とのより良い関係を考える科学「アニマルウェルフェア」を一緒に研究してみませんか?

千葉県出身。麻布大学獣医学部環境畜産学科卒業、同獣医学研究科動物応用科学専攻修了。北海道農業研究センター、農業生物資源研究所、畜産草地研究所のポスドクを経て、2007年より東海大学農学部勤務、2019年にスコットランド農業大学動物行動学&福祉学チーム留学。趣味は、ルアー・フライフィッシング。家畜写真家。