建築学科の山川教授が「ヒートポンプ・蓄熱システム運転管理等の改善事例」で最優秀賞を受賞しました

建築都市学部建築学科の山川智教授が、一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターが主催する「ヒートポンプ・蓄熱システム運転管理等の改善事例」で最優秀賞を受賞し、7月23日に東京都・国際ファッションセンタービルで開かれた表彰式に出席しました。同表彰は、蓄熱システムなどの空調設備の運転管理・運用や設備の改良などによって優れた改善効果を上げた事例を表彰するものです。今回で23回目を迎えますが、これまで最優秀賞に選ばれたのはわずか5件のみです。山川教授は調布市文化会館たづくりで日本ファシリティ・ソリューション株式会社と共同で取り組んできた「中央熱源システムの省エネフィッティングによる施設の最適化」が評価され、今回の受賞となりました。

オフィスビルや病院などの建物では、冷暖房のためにポンプで冷水や温水を循環させ、ファンで冷風や温風を送っています。こうした設備は冷温水や風量が不足しないよう、実際に必要な量よりも余裕を持った水量や風量で運用されるケースが多くあります。山川教授らが開発した「省エネフィッティング」は、実際の空調の運転データを分析し、建物ごとに必要な水量や風量を推定することで、設備改修工事を必要とせず、工事費をかけることなく、設定変更のみで大幅な省エネルギーを実現できる手法です。調布市文化会館では過去の運転データを分析して運用を改善し、2025年度には冷水を送る空調用ポンプの消費電力を年間72.8%削減し、空調用ファンの消費電力も年間31.9%削減しました。山川教授は、「自動車メーカーが省エネ性能の高い車を作っても、乱暴な運転をしていては省エネにならないのと同じで、建物も省エネ設備を導入するだけでなく、運転方法を見直すことが重要です。同じ設備でも、例えばオフィスと大学では人の多い時期や時間帯が異なり、空調の利用状況も異なります。省エネ設備はさまざまな使われ方に対応できるように作られているので、それぞれの建物の使い方に合わせて“フィッティング”させていくことが大切です」と説明しました。

「省エネフィッティング」の一連の取り組みは、2025年5月に空気調和・衛生工学会賞 論文賞、2026年1月には省エネ大賞 資源エネルギー庁長官賞を受賞するなど、高い評価を受けています。山川教授は、今回の受賞について、「2021年から研究室の学生たちと、実際の建物の運転データと向き合いながら、一つひとつ改善を積み重ねてきました。地道に続けてきた取り組みが、これまで23回の表彰でわずか5件しか選ばれていない最優秀賞という形で評価されたことを、大変うれしく思います」と話しています。さらに、「空調用のポンプやファンは、日本中、そして世界中の建物で使われています。省エネフィッティングを広く普及させることで、既存建物のエネルギー消費を減らし、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきたい」と今後の展望を語りました。今年度から研究室の学生たちとともに湘南キャンパスでも省エネフィッティングの実証を進めており、研究成果のさらなる発展と社会実装を目指しています。