卒業生が日本建築学会の優秀卒業論文賞を受賞しました

工学部建築学科を2022年3月に卒業した蒲谷勇太さん(指導教員=小沢朝江教授)がこのほど、「2022年日本建築学会優秀卒業論文賞」を受賞しました。全国の大学から応募のあった卒業論文から15作品が選ばれるもので、建築学分野では最難関とされています。

蒲谷さんの論文テーマは、「住宅展覧会再考-日本における導入・変容過程と存在意義」です。近代に日本国内で実施された「住宅展覧会」に注目し、開催手法とその変容を総合的に考察。雑誌や新聞記事といった一次資料を収集・読解した結果から、住宅展覧会には、一般への解説を目的とした「博覧会型」と、複数の住宅を審査により比較する「共進会型」の2つの形式があることを明らかにしました。さらに、大正時代には住宅改善の啓発のために導入された住宅展覧会が、社会のニーズに合わせて、次第に商業目的に傾倒し、ショールームとしての展示場へと移行していった歴史も解明。住宅改善の啓発媒体であると同時に、住宅の商品化を牽引した萌芽と結論付けました。

蒲谷さんは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けながらも図書館に足を運び、資料を網羅的に収集して研究を進めてきました。「住宅展覧会に関する総合的な研究はこれまでほぼなく、前例がないために行き詰まることも多々ありましたが、小沢先生にサポートいただいて乗り越えてきました。多くの資料を集めるのは大変でしたが、その点を高く評価していただけたのでうれしく思います。4月からは建設会社に勤めているので、今回の受賞を自信に社会人として仕事に邁進したい」と話しています。