建築都市学部オープニングセミナー「気配・印象・雰囲気をコントロールする~照明デザイン」を開催しました

建築都市学部では10月8日に、湘南校舎19号館とオンラインの併用で、建築都市学部オープニングセミナー「気配・印象・雰囲気をコントロールする~照明デザイン」を開催しました。今年4月に開設した建築都市学部の理念や教育・研究活動を周知するとともに、建築にまつわる企業や行政、大学などの研究機関の識者らとそのあり方を考える機会とすることを目的としたものです。「Linkage 人・建築・都市を○○でつなぐ」を共通テーマとして昨年度から合計9回の講演を企画しており、第7回目となる今回は照明デザイナー・コンサルタントの澤田隆一氏(有限会社サワダライティングデザイン&アナリシス代表取締役)が講師を務めました。

初めて対面での開催となった19号館の教室には本学部の1年次生だけでなく工学部建築学科や大学院工学研究科の学生ら多数が参加しました。澤田氏は照明デザインの領域や照明に携わる仕事について説明した後、デンマーク・コペンハーゲンと神奈川県・湘南海岸を例に白夜や太陽の沈み方の違いなどを解説し、「光の感じ方はどんな風土で育ったか、どんな場所で暮らしているかで変わってきます」と話しました。また、「LEDが登場したことで新たな光源の時代に入り、皆さんはその時代に生きている」と話し、最先端の照明機材を紹介しました。その後は自身が手がけた仕事を例に照明デザインの実態を解説。東京電機大学東京千住キャンパスは敷地を区切る壁がない「公開空地」であることから、「学生がいない夜間も公共の場としての安全性を確保するために照明をつける必要があります。公共の光を取り込み、街の一部に見える照明をデザインしました」と語りました。さらに、「設計は英語だとデザインと訳されますが、照明設計はアートとエンジニアリングで構成されています」と話し、エンジニアリングを重視した例として山形県・天童ポケットパークに設けた照明を紹介。歩く人より車で通りすぎる人が多いことに着目し、「時速50kmで走行した際に光のしぶきが目に留まるような照明を考えました。コンピューターで何度もシミュレーションしましたが、最終的には現場に出て、実際の環境で光を見ることが大切」と語りました。

講演後は岩﨑克也学部長の司会で質疑応答を行い、会場やオンラインで参加している学生らから多くの質問が上がりました。最後に澤田氏が学生に向けて、「時間は財産だと考え、たくさんの物を見てください。建築は最も身近にサンプルの多い学問です。今はスマートフォンで調べれば何でもわかる時代ですが、現物を見てその経験を話す人にはかないません。成果をなした人の本は、自分の経験を補填できますし、たくさんの人の話を聞くことも大切。学生時代に経験値を高めて引き出しの中に入れ、いざというときに使えるようにしてください」とメッセージを送りました。