建築都市学部オープニングセミナー「都市DXの取組み―国土交通省Project PLATEAU」を開催しました

建築都市学部では11月26日にオンラインで、建築都市学部オープニングセミナー「都市DXの取組み―国土交通省Project PLATEAU」を開催しました。本セミナーは、今年4月に開設した建築都市学部の理念や教育・研究活動を周知するとともに、建築にまつわる企業や行政、大学などの研究機関の識者らとそのあり方を考える機会とすることを目的としたものです。「Linkage 人・建築・都市を○○でつなぐ」を共通テーマとして昨年度から合計9回の講演を企画しており、第8回目となる今回は国土交通省都市局都市政策課課長補佐の内山裕弥氏が講師を務めました。

岩﨑克也学部長によるプロフィル紹介に続いて登壇した内山氏は、まず国交省が主導する3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクトである「PLATEAU」について説明。「2020年度にスタートしたPLATEAUは、都市政策をDXし、ソサエティ5.0の実現を目指すもので、都市を対象にさまざまな目的で使用できる『デジタルツイン』データを作成していくプロジェクトです。意味情報を記憶したパッケージングデータを誰でもただちにダウンロードして解析でき、実際の建築物のBIM(Building Information Modeling)も参照できるため、都市全体のデータを統合して多様なソリューションを生み出すことが可能です」と語りました。また、屋内外をつなぐシミュレーションや、特定の建造物の周辺交通量分析が可能であり、全体最適・持続可能なまちづくりや、人間中心・市民参加型のまちづくり、機動的で機敏なまちづくりへの活用のあり方を紹介し、「従来のまちづくりは、上から下への一方向的な指示で動き、かかわる人たちはフラットな関係ではありませんでした。PLATEAUの活用によって目指すのは、真にフラットなまちづくりと市民参加です。そのためには、3Dデータやビジュアライズは不可欠であり、PLATEAUを使えば多くの人と情報をシェアしながらコミュニケーションを図ることができます」と利点を語りました。

また、PLATEAU開発における標準データモデルの策定や、グローバルスタンダードに準拠した規格の採用、これまで使われてきた地図の規格への適応をはじめとしたデータの作成方法と解析方法を紹介。「PLATEAUに使うデータは1から作っているわけではなく、地方自治体が持っているデータを組み合わせてできているため、急速かつ安価な作成が可能です。今後は、どのようにデータ整備を進めるかが課題ですが、関係機関が協力してエコシステムを構築し、社会実装を図っていく」とまとめました。その後は、参加者と質疑応答も行い、建物の意匠データ収集の方法や現代的なデザインの理由など多様な質問が寄せられ、内山氏は一つひとつ丁寧に回答。最後に学生たちに向けて、「PLATEAUに限らず、現代社会ではDX化が進展し、AI、メタバースなどの技術が過渡期にある一方で、エンジニアが不足しています。一般企業でも社会人経験よりもその人の持つスキルが着目される世界になっています。学生時代から幅広い事象に関心をもち、技術を磨くことで将来の選択肢が増えますから、ぜひアンテナを高くして生活してください」と呼びかけました。