建築学科の篠原准教授が「身体から考える光環境は私たちの明日を変えるか」をテーマに講演しました

建築都市学部建築学科の篠原奈緒子准教授が5月10日に、オンラインイベントにゲストとして登壇。「身体から考える光環境は私たちの明日を変えるか」をテーマに講演しました。このイベントは、東日本大震災を機に発足した有志団体「エッセンシャルライト ジャパン プロジェクト(ELJP)」が月に1回開催しているもので、節電と照明について考え、最適な照明環境について自由に話し合うプラットフォームの提供を目指しています。ELJP発起人で照明デザイナーの岡安泉氏(岡安泉照明設計事務所代表)の紹介を受けて講演した篠原准教授は、初めに光の効果について解説。「機能的な効果、心理的な効果だけでなく、健康に影響を与える生理的な効果もあります。

照明のLED化によって省エネ問題が改善され、生理的効果がより注目されるようになりました」とコメント。睡眠・覚醒といった生体リズムを調整するホルモン「メラトニン」の機能についても解説し、海外では学校の休み時間と授業時間に照明の色を変えることで成績が33%向上したといった実験例も紹介しました。また、2014年にアメリカで始まった、ビルやオフィスなどの空間を人間の健康の視点で評価・認証する「WELL認証」や、LED照明の進化の過程、人の眼には視覚作用に関与し日常の明るい空間では働き色を知覚する錐体と非常に暗い空間で働く桿体、メラトニン分泌抑制といった非視覚作用に関与しているipRGCの3種類の視細胞があることを説明。被験者による明るさの評価実験の結果とそれぞれの視細胞による重みづけの照度を評価した場合の明るさなどについても語りました。

最後に岡安氏は、「アメリカの形をそのままはめ込むのではなく、日本人の感覚や仕事の仕方、生活リズムなどを含めて日本仕様のWELL認証を考えていく必要があります。篠原先生の研究テーマはそのベースになるような内容で、とても有意義なお話しを聞かせてもらいました」とまとめました。