大学院総合理工学研究科総合理工学専攻博士課程(建築・土木コース)を2022年度に修了した野村渉さん(株式会社山手総合計画研究所)が、「2023年日本建築学会奨励賞」を受賞。4月19日に同学会から発表されました。建築分野における独創性・萌芽性・将来性のある優れた論文業績が対象で、発表時40歳以下の若手研究者を表彰するものです。野村さんは在学中に取り組んだ「戦前の農村中堅人物養成施設における〈模範農家〉建設と農村住宅改善の取組み」の論文が評価されました。
この研究は、村長や助役といった農村の指導的人材の育成を目的に設置された「農村中堅人物養成施設」で実施された農村住宅改善の取り組みに注目。全国4校で確認された「模範農家」などと呼ばれるモデル住宅の建設目的や使われ方、住宅改善への効果を、文献資料や古写真、図面などから明らかにしました。この模範農家を、修練生が生活する寄宿として用い、実体験を通した住宅改善の普及・啓発を図ったことに言及しています。
野村さんは、「住宅改善をテーマとする研究は、住宅の近代化の系譜を知る上で重要です。日本近代住宅史研究において農村住宅に関する蓄積は少なく、今回の研究では、農村における先進的かつ実践的な住宅改善の取り組みに新しい知見を加えられたと考えています」と語ります。社会人大学院生として在学中は小沢朝江教授(建築都市学部建築学科)の研究室に所属し、「小沢先生には史料調査や実地調査にも同行していただき、寄り添った対話や指導を受けてきました。実測調査による図面作成や史料調査での建物把握といった知識と技術を研究室の活動から身に着けることができたと感じています。今後も歴史的建造物の保全活用や改修に携わりながら、評価いただいた研究の発展・継続に尽力していきたい」と語っています。
なお、2014年度に大学院総合理工学研究科総合理工学専攻博士課程(建築・土木コース)を修了した品川恭一さん(株式会社一条住宅研究所課長補佐)が参画するチームが「浸水試験システムで実証した水災から暮らしと財産を守る耐水害住宅」で「2023年日本建築学会賞(技術)」を受賞しています。
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