大学院生と卒業生が卒業設計コンクールで入賞しました

大学院工学研究科1年次生の都丸優也さん(指導教員=建築都市学部長・岩﨑克也教授)がこのほど、全国合同卒業設計展「卒、23」で審査員賞「酒匂克之賞」を受賞しました。2022年度に制作された卒業設計が対象のコンクールで、2月25、26日に東京都・隅田公園リバーサイドギャラリーで開かれた対面での講評会を経て各賞が選ばれました。都丸さんの作品「不協都市のリハーモナイズ―3つのアプローチにより都市個性を結う音建築の提案―」は、小田急線・新百合ヶ丘駅周辺の丘陵地に新しい文化施設を建設するもの。メーンの音楽ホールからあえて音を周囲にもらすことで、隣接する図書館や商業施設のBGMとして生の音を感じられる設計にしました。「この提案では核となるホールや過去と現在の都市空間をマッシュアップした人々の居場所の計画に時間を割き、内観の細部までこだわりました。大学院では、都市空間に発生する居場所やホール・劇場におけるホワイエ空間の活用法についても研究を進め、人々の活動を誘発する形態操作とデザインについて考案したい」と意気込みを語りました。同作品は他に2月から3月にかけて開催された、「せんだいデザインリーグ2023」「赤れんが卒業設計展2023」でそれぞれ100選に入選しています。

また、都丸さんと、同じく岩﨑研究室に所属する大野維親さん(大学院工学研究科1年次生)、卒業生の大渕光佑さん(大学院工学研究科2022年度修了・戸田建設株式会社)の3人が、揃って「毎日・DAS学生デザイン賞」の「大学生の部 金の卵賞」建築部門に入選しました。大野さんの作品「都市と自然を境界層で紡ぐ―吉祥寺と井の頭公園が形成する滞留型文化機能の構築―」は、井の頭公園の横に横長の建物を建設し、机や椅子が並ぶ人工的なスペースや、自然の光が降り注ぎ、地べたに座ってくつろげるスペースなどを交互に設け、都市と自然の緩やかな融合を目指しました。「1年間やってきたことが評価され、初めて入選できて自信になりました。今後は集団での設計などにも取り組んでみたい。周囲の環境が空間に与える影響についても研究していきます」と語りました。

大渕さんの作品は近年、学修環境や働き方が変化している点に着目し、箱型建築を解体・再構築した「Re:Construction―壁面形状を用いた空間の再構築と都市空間への接続手法―」。多様な空間を複合的に建設することで、市民の活動や街の賑わいが生まれ、都市と人、街と建築をつなぐ都市建築を目指しました。「フィールドワークなどを通して、建築や空間の事例を集め、作品に客観性と説得力を持たせるよう心掛けました。大学院で学んだ都市と建築の関係性や在り方を、これから設計者としての仕事に生かしていきたい。自分が携わった建築にたくさんの人が集まり、過ごしてもらえるよう全力で頑張っていきます」と語りました。