建築学科の稲益准教授が国際シンポジウムで講演しました

写真提供=法政大学イノベーション・マネジメント研究センター

建築都市学部建築学科の稲益祐太准教授が3月27日に、法政大学市ケ谷キャンパスで開催された「『南イタリアの食とテリトーリオ―農業が社会を変える―』発刊記念国際シンポジウム」(主催:法大イノベーション・マネジメント研究センター)で講演しました。同書は、法大経営学部の木村純子氏と同江戸東京研究センター特任教授の陣内秀信氏の編著として今年3月に発売され、都市と農村を有機的に連携させるイタリアのテリトーリオ(地域)戦略について具体例を示しながら多角的に掘り下げて論じています。イタリア建築史・都市史、テリトーリオ史が専門の稲益准教授は、「第2部 個別論考」の「第6章 マッセリアの再生に見るブーリアの田園」の執筆を担当しました。今回のシンポジウムは、同書の国内外の著者がそれぞれの担当テーマについて講演。オンラインでも配信され、来場者56名、オンラインで約80名が参加しました(講演の動画は同研究センターのホームページで視聴できます)。

「マッセリアの再生に見るブーリアの田園」をテーマに登壇した稲益准教授は、同書の制作に際し木村氏や陣内氏らと南イタリアのカンパニア州やプーリア州を訪れ、ワインやチーズ、レモン、トマト、そしてオリーブオイルの生産者らに、製造方法や生産量、助成金の有無やその使い道などをインタビューした様子を紹介。「イタリアでは第二次世界大戦後、多くの人が農業をやめて都市部に出稼ぎに行きましたが、2000年代に入るとその子の世代が地元に戻って家業を再建しています。大規模な工場や農場で大量生産するのではなく、地域性を重視してそこでしか作れないものにこだわっている様子を見ることができました」と話しました。「イタリアにはキロメートル・ゼロ(地産地消)という言葉があり、地元のレストランも地域性を重視する農家と取引をして、その土地でしか味わえない料理を大切にしています。こうした取り組みが、本書のサブタイトルにある『農業が社会を変える』につながっていくのではないでしょうか」とコメント。また、「木村さんが“これからの農業は多機能性が必要”とおっしゃっていますが、私も地域の農業を守ることが景観や農業を取り巻く産業を維持することにつながると考えています。テリトーリオを守り、次世代につなげていく取り組みは、日本も学ぶべきところが多くあると感じています」とまとめました。