
建築都市学部建築学科の山川智教授が参画する研究グループがこのほど、「2025年度 省エネ大賞」(主催:一般社団法人省エネルギーセンター、後援:経済産業省)の省エネ事例部門「資源エネルギー庁長官賞」(支援・サービス分野)を受賞しました。省エネ大賞は、国内の企業・自治体・教育機関等に対して、優れた省エネ推進の事例や省エネ性の高い製品、ビジネスモデルを表彰するものです。1月28日に東京ビッグサイトで開催された表彰式で賞状とトロフィーが贈られました。
今回受賞したのは、山川教授が日本ファシリティ・ソリューション株式会社、株式会社クラフティアと共同で取り組んできた「既存設備の『省エネフィッティング』で実現した省エネルギー」です。事務所ビルや病院などの建物では、ポンプで冷水や温水を循環させて冷暖房機器を稼働していますが、冷温水が不足しないよう余裕を持った水量で運用されることが一般的です。空調用ファンについても同様に、余裕を持った風量で運用するケースが多く見られます。山川教授らが提唱する「省エネフィッティング」は、冷暖房の利用実績データを分析し、建物ごとに適正な水量や風量を推定することで、設備改修を行わず、設定変更のみで大幅な省エネルギーを実現できます。実証では、ポンプで80%以上、ファンで60%以上のエネルギー消費量削減を達成しました。
表彰式には山川教授と共に、本研究を担当した建築学科卒業生の笹生龍誠さん(23年度卒・株式会社森村設計)、前田愛果さん(同・株式会社セイワ設計)、木村慈恵子さん(23年度卒・戸田建設株式会社)も出席し、「病院の空調用ポンプの水量や消費電力量、空調の稼働状況などを分析しました。膨大なデータを扱う果てしない作業でしたが、研究室での学びは社会人になった今もさまざまな場面で生かされています」とコメント。東海大学在任5年間で、2年連続・通算3度目の受賞となった山川教授は、「気候変動問題の解決に向けて、既存建築物の省エネを進めることが重要です。省エネフィッティングは、工事費をかけず、設定変更のみで大きな省エネ効果が得られる手法です。実際の建物で学生が懸命にデータ分析を行い、その成果として手法を確立し、効果を実証することができました。」と話します。来年度には、研究室の学生に笹生さんも加わり、湘南キャンパスでの省エネフィッティングの実証を開始する予定です。「まずはいくつかの校舎に導入し、建物運用関係者とノウハウを共有しながら、キャンパス全体、さらには他大学へも展開していきたい」と今後の展望を語っています。


