A.昼光色の明かりを使うと集中力が高まります

皆さんは普段、どんな場所で勉強していますか? 自室や図書館のように静かな場所が好きな人もいれば、リビングやカフェのようにある程度の雑音がないと集中できない人もいるでしょう。音の環境一つをとっても好みや適性が分かれるのですから、建築学的に「勉強がはかどる部屋」を定義するのは、実は難しいことなのです。
私が研究している光環境については、青白い光(照明でいう「昼光色」)のもとでは集中力が高まることがわかっています。 ただ、青白い光は覚醒を促すため、夜遅くまで浴び続けると睡眠リズムが乱れてしまう恐れがあります。ですから、勉強は早朝にして夜は早寝するのが理想的です。どうしても夜になってしまう場合は、寝る4時間くらい前からリラックス効果のあるオレンジ系のライトに変えると安眠につながります。休憩中はオレンジ、勉強を再開するときは青白い光と照明を切り替えれば、集中を取り戻すこともできますよ。
部屋は暗くして手元だけを明るくすると集中できるという人がいるかもしれませんが、周囲と手元の明るさのギャップで目が疲れてしまうことも。なので、部屋全体も適度に明るいほうがいいのですが、「光の好み」はその人が育ってきた環境に大きく左右されます。睡眠や覚醒の生体リズムを意識しつつ、自分にはどんな光環境が合っているのか探ってみるのがオススメです。近頃は色味や明るさを調整できる照明が増えているので、ぜひ試してみてください。
最近のLEDは、光の色や波長を細かくコントロールすることができます。この技術を駆使して、オレンジ色でありながら勉強に適した照明や、青白くてもリラックスできる照明を作り出すことが、私の研究の最前線です。実現すれば、たとえばオフィスに、仕事がはかどる空間と息抜きできる空間の両方を、照明によって作り出すことができます。人の集中力は20分くらいしか続かないことが最近の研究でわかっています。適度な休憩を挟むことが全体の作業効率アップにつながることも覚えておいてくださいね。
研究には発想力が不可欠ですが、様々な分野の知識は発想のための「引き出し」になります。新しいアイデアを生み出す時や壁にぶつかった時には、引き出しの多さが必ず助けになりますから、「何の役に立つの?」と思われがちな学校の勉強もやっておいて損はないですよ。何事も熱意を持って取り組んでいれば、応援してくれる人が必ず現れます。人生の選択で迷った時は、どちらかを諦めるのではなく、「両方やってやる!」という気持ちでチャレンジしてみてくださいね! 企業で働きながら大学院で博士号を取得し、その間に出産・子育ても経験した私が言うのですから、間違いありません(笑)。
しのはら・なおこ 1979年神奈川県生まれ。東海大学工学部卒業後、東海大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程前期終了。株式会社日建設計にて光環境計画の業務を行いながら東海大学大学院総合理工学研究科総合理工学専攻博士課程後期修了。博士(工学)。2022年に東海大学建築都市学部建築学科に着任、現職。専門は、建築環境工学。