経営学部では5月28日と6月4日に湘南キャンパスで、2年次生を対象に開講している「デザイン1」の一環として、1874年に設立されたデンマークの照明ブランド「ルイスポールセン」の日本法人から荒谷真司氏を講師に招き、デンマークの生活に関わるデザインについて学びました。この授業は新設の経営学部に新たに導入された科目の一つで、さまざまな視点からデザインを捉え、デザイン思考を養成するために開講しているもので、豊富な経験を持つ社会人を講師に招いています。
荒谷氏は、5月28日は「デンマークの暮らしを豊かにしているデザイン」、6月4日は、「デンマーク流照明術 日本との違い」をテーマに、豊富な映像を使って具体的に講義。「暮らしとデザイン」では、椅子や食器をはじめドアハンドルや壁に付けられたスイッチに至るまで、日常生活のための美しいデザインがなされていることを紹介し、「シンプルで奇をてらわないフォルムと機能美を求めるのが北欧デザインの特徴です」と解説しました。また、照明については、高緯度のデンマークでは日光が常に斜めから差し込むので、室内の壁や天井をマット塗装にして光を柔らかく反射させている点などが説明され、夏至のころの美しいコペンハーゲンの黄昏時の写真も紹介。「デンマークの照明は、一部屋にペンダント、テーブルランプやフロアランプなど、複数のランプを光の用途によって使い分けるのが特徴です」と説明しました。また、ルイスポールセン社の成り立ちに欠かせないデザイナーであるポール・ヘニングセンについても紹介。その仕事や思想、照明デザインの考えをひもとき、1958年にデザインされた20世紀を代表する照明のひとつ「PHアーティチョーク」について丁寧に説明しました。
聴講した学生からは、「デンマークには名作デザインが多くあり、それらを国民が誇りをもって大切に使っていることを知った」「照明によって空間の見え方、感じ方がまるで変わることに驚いた」「今日の学びをいかして光を楽しむ照明を取り入れ、おしゃれで機能的な空間を作ってみたい」などの感想が聞かれました。
また、終了後は本授業に協力している文化社会学部北欧学科の柴山由理子准教授のコーディネートで、荒谷氏の案内により本キャンパス4号館エントランスホールの「PHアーティチョーク」などの見学会も実施。「PHアーティチョーク」は1972年に北海道・旭川市に開学した旧東海大工芸短期大学に設置されたものを、その後札幌キャンパスで保管していたものです。本学の織田憲嗣名誉教授と荒谷氏の監修で、52年前に購入したランプは最新のLED光源にアップデートされ、4号館で輝いています。学生たちは北欧デザインを基調にまとめられた学長室も見学。参加した森優華さん(2年次生)は、「デンマークでの照明の使い方やデザインにおけるこだわりが実際に製品のデザインや設置に反映されているのを目の当たりにして、興味深く感じました実際の製品を目の前にしてお話しいただく貴重な機会を得られてうれしかった」と話しました。
本授業を担当する経営学部の亀岡京子教授は、「これから経営学を学び、社会で活躍するためには、経営戦略やマーケティングといった専門的な視点だけではなく、さまざまな社会システムや組織をデザイン的な概念で広くとらえることが必要です。今後も多様な講師を招き、学生にデザイン思考や実践力を身に付けてもらえたら」と話しています。