2023年3月に文化社会学部アジア学科教員の立石謙次が中国少数民族の言語・文字に関する書籍を出版いたしました。

2023年3月に文化社会学部アジア学科教員の立石謙次が中国少数民族の言語・文字に関する書籍を出版いたしました。

※同書のPDF版は以下URLから無料でダウンロードできます。
https://drive.google.com/file/d/1noIUd5hAIK5bifGQgPV2wCmvQH_37_aW/view?usp=share_link

以下、同書要旨より。
『大本曲『鍘美案』(南腔)の研究―雲南大理白族の白文の分析―』
本書は大本曲『鍘美案』の日本語及び漢語の翻訳および語彙集である。本書の目的は、いまだ解読法が確立していない白文資料を日本語・規範漢語に翻訳し、白文研究の基礎を確立することにある。大本曲とは中国の雲南省に多く居住する白族(ペー族)の説唱文芸(かたりもの)である。大本曲は歌い手と三弦(三味線)の二人でおこなわれ、白語(ペー語)と漢語とが併用される。白語は漢字によって表記される。この表記方法は白文(ペー文)と呼ばれる。歴史的に白族とその先祖たちは漢文を用いて文章を記してきた。ただし一部では、漢字を用いて白語を表 記する白文が用いられた。白族の直接の先祖であるかは別としても、雲南地方では少なくとも史料上、南詔国の時代(8世紀前半-10世紀初頭)には漢字を応用し、自民族の語彙を表記しようとした例がみられる。ただし数少ない南詔国・大理国時代の例では、単に自民族語の語彙を漢文中に挿入する程度のものであった。明清代(14世紀-20世紀前半)に入ると、韻文や歌など「音」を記録するための表記体系が確立していったとみられる。 ただし上述のように、その使用は芸能や宗教な方面に限定的であり、一般の白語話者でも完全には読むことができない。

※また本書で分析したテキストの実際の上演状況は下記URLからみることができます。
http://www.youtube.com/@Tateken01