学科教員リレーエッセイ㉔ 笠原 一哉 講師「DJハギーさん講演会、地域密着放送の魅力を学ぶ」

「DJ HAGGY(ハギー)」こと萩原浩一さんはコミュニティFM「レディオ湘南」(=藤沢エフエム放送)で24年間にわたりDJを務めました。そのほか茅ヶ崎市「ちがさき観光親善大使」や江ノ島電鉄「江ノ電応援大使」も任されるなど、湘南地域の観光大使的な存在でもあります。そのハギーさんを講師に招いた「知のコスモス講演会 地域密着放送の魅力」を7月10日、本学の湘南キャンパスで開催しました。

コミュニティFMとは放送エリアが区や市町村単位に限られたラジオ放送局です。防災・災害放送としてだけでなく、地域に密着した情報を届けることができるメディアとしても注目され、地域の活性化や課題解決の役割が期待されています。その一つレディオ湘南で長年DJを務めたハギーさんだけに、お話の一つひとつが現場で培われた経験に裏打ちされていました。

例えばバス停。地元住民しか読めないような「難読バス停」も少なくありません。こうした情報を放送に盛り込むと地域の人に非常に喜ばれるだけでなく、地名は災害時の基本情報であるため防災・災害放送としての信用にもつながるとのこと。また「ラジオへの憧れだけで始めても放送事業は続かない」と述べ、資金繰りがうまくいかず閉局に追い込まれた放送局も複数あるなどコミュニティ放送が置かれている厳しい状況も説明しました。ハギーさんが強調したのは、「インターネットで手軽に情報が手に入る時代だからこそ、地域に根差した確かな情報をしっかり“足で稼ぐ”」ことの大切さでした。

来場者の中には、広報メディア学科のプロジェクト活動「こちらラジオ番組制作部」のメンバーとしてコミュニティ放送「FM湘南ナパサ」(=湘南平塚コミュニティ放送)の番組制作に携わっている学生や、インターネットラジオでパーソナリティーを務めているという学外の参加者もおり、メモを取りながら熱心に耳を傾ける姿が多く見られたことが印象的でした。

学生の一人は、「地元住民が出資し税金が投入されている場合もあるコミュニティ放送は、その地域の人たちのためになる情報を発信しなければならないという責任を強く感じた。そして信頼されるためには地域を知るための日々の積み重ねが重要だと知りました」と、講演で学んだことを熱っぽく語ってくれました。

「東海大学さんの講演会に初めて参加しました。久々に学生気分を味わいつつ、興味深くて楽しい時間でした。一般にも門戸を開いていただいてありがとうございました」との感想を寄せてくださった方もいました。広報メディア学科では、地域と本学とのつながりをより深めていけるような講演会を今後も企画していく予定です。

△コミュニティ放送の魅力を熱弁するハギー氏
(7月10日、東海大学湘南キャンパス)