2024年8月5日‐10日、本授業の履修者はアジア学科教員 立石謙次の引率で台湾の台北・台中を訪れ、同地の歴史文化を体験しました。台中では文化部文化資産園区を訪問し、台湾伝統音楽に関する授業を受講しました。
授業は8月6日と8月7日に行われました。まず学生たちは「鳳燁楽府」の陳燕玲先生より「南管(なんかん)」の説明を受けました。南管のルーツは唐宋代にさかのぼるとされ、今の福建省泉州を中心におこなわれた音楽が台湾に伝わったとされています。
南管では琵琶(びわ)・二弦(にげん、二胡のような擦弦楽器)・三絃(さんげん、三味線)・洞簫(どうしょう、ふえ)・拍(はく、竹製のカスタネット)を基本編成としたアンサンブルです。歌は台湾語(閩南語)を使って歌われます。学生たちは、このうち実際に「拍」を体験しました。二本の竹製の札のような「拍」はシンプルなだけに、音をだすのが難しく学生たちは悪戦苦闘していました(わたくし立石も体験しましたが音を出すのも大変でした)。
拍の体験後、陳燕玲先生の琵琶と歌を鑑賞しました。琵琶は普通の中国琵琶のように立てずに、横にして弾くのが特徴です。このスタイルは唐代の琵琶や日本の薩摩琵琶と同様だそうです。台湾語の特徴的な声調から紡ぎだされる旋律はとても優美で、みな真剣に聞き入りました。
南管に続いて「微笑唸歌団」の儲見智先生と林恬安先生による「唸歌」(ねんか)についての授業を受講しました。唸歌は月琴や大広弦という楽器を用い、物語を歌う説唱文芸(語り物)で、19世紀までは中国などでも盛んにおこなわれていました。
この日は唸歌の基礎的な知識と、唸歌で使われる大広弦・月琴の説明を受け、唸歌の演目の一つで、日本人にもなじみのある十二支の成り立ちの物語(『十二生肖』)を鑑賞して、授業は終了しました。
翌8月7日は、実際に月琴に触れる授業でした。この授業では台湾の日本統治時代に作られた『日台会話新歌』という、日本語・台湾語併用の歌仔冊(台本)が用いられ、月琴に触れながら歌ってみました。
授業後、台中市隣県の彰化県にある鹿港を訪問しました。
鹿港は古い町並み続き、色濃くかつての台湾文化が残されていました。
授業以外でも学生たちは自分たちで計画を立て台中・台北の街を散策し、6日間の研修で様々な体験をしました。
今回お世話になりました「微笑唸歌団」のお二人は、2024年12月6日(金)15:20(予定)から、東海大学湘南校舎において公演を行います。
公演の詳細が決定次第、発表いたします。
(文・写真:立石謙次)