今年も東海大学付属中等部・高校生を対象とした「学園オリンピック」が、8部門に分かれて、オンラインでおこなわれました。
国語部門では昨年および一昨年の学園オリンピックに高校生として参加し、その後、高校を卒業して異なる分野に進学した4人が、アシスタント役を自ら買って出てくれました。大江 悠喜さん(付属浦安高等学校2023年度卒)、山下 卓文さん(付属高輪台高等学校2023年度卒)、菅野 伽琉さん(山形高等学校2022年度卒)、青木 煌太さん(付属望星高等学校2023年度卒)です。
4人は後輩たちの作品を精読し、講評の際には情理のかよったコメントをくれました。また、お弁当タイム・おやつタイムには参加者が交流できるように、うまくとりなしてくれました。さらに、9月7日の回(第6日目「第2次課題発表」)では、各自10分ずつの持ち時間で、「私はこんなふうに創作してきた」というテーマのレクチャーを、パワーポイントを使って披露し、参考作品として自作の小説まで披露してくれました。
以下、アシスタントを代表して本学科所属の大江悠喜さんからコメントをいただきましたので、ご紹介します。
《学生アシスタントとして授業をさせていただくうえで僕たちが考えたことは、一人10分という時間で何ができるのか、何を伝えられるのか。そして何より、学生アシスタントとして伝えるべきことは何なのか、ということでした。
『私はこんなふうに創作してきた』というテーマの下、真面目な話や技術について僕たちが10分間授業をしたところで、大した学びを提供することはできないでしょうし、そうした内容については既に先生方がたっぷり時間を使って有意義な講義をしてくださっています。それならば、僕たちはいったい何をするべきなのだろうか。僕たちは何度も話し合いを重ね、時には深夜まで続くこともありました。
そうした中で一つ、気が付いたことがあります。僕たち学生アシスタントは、先生(教授)とは違います。力不足です。それは当然のことです。僕らはまだ学生で、僕に至っては『入門ゼミナール』を受けているような段階なのです。それでも、だからこそできることがあるのではないか、今の僕らだから伝えられることがあるのではないか、そう思いました。
学生アシスタントだからこそできること、それは彼らの疑問を解決することではなく、一緒に悩み、解決策を探していくことだったのだと私は考えます。
当日僕たちは、「私はこんなふうに創作してきた」というテーマで授業を行いました。これは皆にとっての正解ではなく、書くという形のない巨大なものに僕たちはどう向き合っているのか、その荒波の中でどのようにもがいているのか、ということを伝えることにしたのです。
先ほど述べたように、僕たちはまだ学生です。それは、参加している高校生たちとの距離が近いということでもあり、彼らが今直面している問題は僕たちがほんの数か月前にぶつかっていた壁であり、今も立ちはだかり続けている問題です。それに対して自分がどのように悩み、どう対抗しているのか、同じように悩む仲間として一つの解ではなく例を示す。それが学生アシスタントだからこそできること、するべきことだったのです。
今回の学園オリンピックではアシスタントである私たちも多くのことを学ぶことができました。来年、再来年とこうした流れが続けばいいなと思っています。》
文責:三輪 太郎