
5月の連休中、学科教員の川口好美先生の本拠地である静岡県川根本町にて、学科生が出演する宮沢賢治の「よだかの星」の朗読劇が行われました。劇の演出担当は昨年川根の<ジ・おでん団>旗揚げ公演にも参加した学科2年次生の腰塚さん、出演者は学科2年次生の杉山さんと喜多さん、そして川口先生です。そのうち、今回初めて朗読劇にチャレンジしたという喜多さんが、練習期間からドキドキの本番当日までの想いを体験記として綴ってくれました。
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私たちは、5月3日に静岡県川根本町にある道の駅の「音戯の郷」という場所で2公演の朗読を行いました。
時は遡り3月下旬。同じ学科の友人から、ゴールデンウィークの3日間ほど川根本町に行き、最終日に朗読をしないかという誘いが来ました。私はのどかな場所が大好きなのと、面白そうと思ったことには何も考えずにすぐにYESと言ってしまう性格なので、二つ返事で了承しました。そのときはまだ朗読というものを深く知らなかったのですが、まあなんとかなるだろうと思っていました。
4月になり、大学が始まってからだんだんと朗読の打ち合わせが行われるようになりました。宮沢賢治の作品の中から一つをピックアップするために何作品か読み、どれが朗読に向いてそうなのかなどを議論しました。結果は「よだかの星」という作品を朗読することに決まりました。そこから演出や読み手などの役割分担をし、私は主人公であるよだかのセリフなどを読む役に任命されました。私は人前で朗読など全くしたことがなかったため、いざ練習をしてみると、読み間違えて何度も止まったり、思うように声で表現することができず、朗読の難しさを体感しました。セリフによって息の使い方や間の開け方を変えたり、演出が求める理想に近づけることがすごく大変でした。それでも、短い時間の中で練習を積み重ねクオリティを上げていくにつれて、作品への理解が深まり朗読することがどんどん楽しくなってきて、充実した練習期間を送ることができました。
私たちは本番の二日前から川根本町に向けて出発し、初日は東海大学ゆかりの地である三保の松原を探索してから山道を抜けて川根本町の旅館に到着しました。二日目は早朝から自然の中を散歩し、川根本町で楽しめる場所をたくさん巡り、夕方には本番で朗読する会場を見学させていただきました。そこで照明やセリフなどの打ち合わせをし、ハプニングなどもありましたがなんとか調整を終えることができました。旅館に戻ってからも何時間か打ち合わせをしましたが、そのときにもうすぐ本番なのだということを実感し、かなり緊張してきました。ここだけの話、その会議のときにはかなり疲弊しており、全然集中できていませんでした。ごめんなさい。

いよいよ本番当日の朝となり、緊張がどんどんピークに向かっていました。車で会場に向かい、そこでも打ち合わせを重ね、ギリギリですべての構成が決まりました。ほっとするのも束の間、別の問題に直面しました。そう、「来場者いるのか問題」です。せっかく準備を整えたのに、観客席がスカスカだと寂しいので、余った時間でビラ配りをすることになりました。私は人見知りで(話しかけられるのは問題ないが、自分から話しかけることが苦手)、なかなかビラを渡すことができなかったのですが、近くで大道芸をしている方が「良ければ宣伝しますよ!」と言って救いの手を差し伸べてくださいました。本当に助かりました。ここで改めてお礼を言いたいです、ありがとうございました!
ビラ配りを終え、本番数分前から舞台裏で待機し、ついに本番のブザーがなり、緊張がピークに達しました。舞台上に出るとお客様の顔が見え、ちょっとだけ緊張がほぐれ、高々とタイトルコールをすることができました。いざ朗読に入ると、読み始めを担当していた川口先生がいつもより感情をオーバーにして読んでいました。それを聞いて自分も感情が高ぶってしまい、少しペースが速くなってしまいましたが、大きなミスもなくなんとかやり切ることができ、会場から温かい拍手をいただきました。
次の2公演目までは2時間しかなかったため、軽く昼食を取りながら反省会を兼ねて会議をしました。次は絶対に落ち着きながら読もうと自分に言い聞かせていると、またしても緊張のピークが来てしまい、そのせいで昼食を食べきるのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。
そして2公演目。舞台上に出た瞬間かなり驚きました。1公演目よりも3倍ほどのお客様に来ていただいていることを知ってしまったからです。しかし、これで緊張をしてしまっては、また先ほどのようにペースが速くなってしまうと思い、なんとか心を落ち着かせました。そのおかげで2公演目は目立ったミスをすることなく、最後まで朗読することができ、たくさんの温かい拍手に包まれながら終えることができました。そして終わった直後に1歳くらいの子がこちらによちよちと向かってきてハイタッチしようとしてくれて、一気に心が安らぎ幸せな気持ちになりました。
練習を始めたころはたくさんミスをして、自分で納得のいかなかったことも多くかなり苦戦しましたが、今回一緒に朗読をしてくれた3人がすごく支えてくださったのでとても感謝しています。本当に良い経験になり、充実した時間を過ごせました。また何かあったら声をかけてください。
文化社会学部文芸創作学科 喜多康太郎