文化社会学部北欧学科の授業「北欧文化概論」で6月12日、フィンランド・ヘルシンキの建築設計事務所「JKMM Architects」の建築家で、研究者でもあるフレイヤ・ストールベルグ=アールト氏をゲスト講師に迎え、特別講義を実施しました。
フレイヤ氏は、「Recipes for Happiness and Architecture(幸せと建築のレシピ)」をテーマに、建築が与える人々の幸福や生活への影響について、実際のプロジェクト事例や研究成果を交えながら紹介。冒頭では、フレイヤ氏が自身の経歴を紹介し、ヘルシンキを拠点に20年以上建築設計に携わる一方で、博士課程では日本とヨーロッパの医療施設の比較研究を行ったことから、16年前に初めて来日したことを説明しました。また、フィンランドの人口や言語、自然環境などの基礎情報に触れ、森林や群島に囲まれた豊かな自然環境が人々の暮らしや幸福感に深く関わっていることを語りました。

続いて、フィンランドが世界幸福度ランキングで長年上位に位置している背景について語りながら、建築が人々の生活を支える「幸福のためのインフラ」として果たす役割を解説し、「建築は単なる建物ではなく、人々が時間を過ごし、思い出をつくり、コミュニティを形成する場です。利用者の視点を重視した設計が重要です」と強調しました。また、JKMM Architectsが手がけた代表的なプロジェクトも紹介。歴史的建造物を保存しながら地下空間に新たな美術館を整備したヘルシンキ中心部にあるアモス・レックス美術館や、アルヴァ・アアルトが設計した市民センターとの調和を図った図書館プロジェクト、フィンランド国立博物館増築計画について説明しました。
後半では、フレイヤ氏が取り組む学習環境に関する研究について説明。フィンランドでは近年、学校が図書館や地域施設などを併設した複合的なコミュニティセンターとして整備される傾向にあることや、グループ学習や協働学習に対応したオープンな学習空間が増えていることが紹介されました。さらに、小学生を対象にしたワークショップを通じて、子どもたちが学校空間をどのように感じているのか調査した結果について、「子どもたちは開放的な空間だけでなく、階段下や読書スペースのように落ち着いて過ごせる場所にも高い価値を見出していることが明らかになりました。現在は、日本とフィンランドの小学校建築を比較する研究にも取り組んでおり、日本の小学校での調査を通して、子どもたち自身の声を建築や教育環境の改善に生かすことを目指しています」と語りました。
最後に授業を担当する柴山由理子准教授が、「フレイヤさんのお話しから、北欧デザインの力について考えるきっかけになったと思います。今年9月に授業『北欧現地研修』でフィンランドを訪問する学生の皆さんはぜひ、現地でフレイヤさんが手掛けた建築物に触れてきてください」と呼びかけました。
