1992年4月から1年間、私は東海大学から英国スコットランドのスターリング大学へ訪問研究員として派遣されていました。中古の白黒テレビを買ってきて(周囲では、テレビはレンタルするのが普通でした!)、スポーツ中継だけは、英語の実況・解説が理解できなくても見ていれば分かるので、様々な種目の中継を視聴しました。ところが、どれだけ見てもルールがさっぱり分からない種目がありました。それが、英国発祥で、世界における競技人口がサッカーに次いで多いと言われているクリケットです。野球の原型と言われる競技ですが、野球とは似て非なるもので、凄い数の点数がどんどん加算されていくのですが、さっぱり理由が分かりません。我慢して見続けましたが、ついにあきらめて今日までそのままです(よって、説明はできません)。
次に不思議に思ったのは、日曜日の夕方にBBC(英国放送協会/日本のNHKに相当する公共放送局)が放送していた「牧羊犬を使って羊を囲いのなかに追い込む世界選手権」のようなタイトルの番組です。山中の開けた場所に二人の選手(牧場主?)とアナウンサーがいて、笛の音を使って牧羊犬を動かし、十数頭の羊をこちらの囲いからあちらの囲いへ動かす時間を競っていました(牧羊犬が1匹の場合と2匹の場合があったと思います)。これがなんで面白いのか、なぜ公共放送で毎週、中継されているのか、さっぱり分かりませんでした。この他、深夜の時間帯に放送されるダーツ選手権の中継も「?」でした。選手は体育館の壇上のような場所でダーツを投げ、1投ごとにアナウンサーが通算点数を「セブンティー!!!」などと叫び、フロアに並べられた丸テーブルの周りでお酒を飲んでいる観客が歓声を上げるのを延々と中継していました。
街中でも不思議なスポーツを見かけました。住んでいたフラット(英国ではアパートのことをこう呼びます)の近くを散歩していると、ものすごく綺麗に手入れされた正方形に近い芝生のコートがところどころにあるので、ある時、通りがかりの人に「あれは何ですか?」と尋ねたところ、「ボウリング・グリーンです」と教えてくれました。ボウリング・グリーンは、サイトで引いてみると「ローンボウルズ」が正式名称のようですが、要はボウリング競技です。日本ではボウリングと言えばテンピンボウリングですが、ボウリング・グリーンは、ピンを倒すのではなく、独特の形状のボールをコートに置かれた白い球のできるだけ近くへ転がすというもので、ややカーリングの雰囲気に似た競技です。実際の競技風景はほんの少し見かけただけですが、それよりも、こんなに綺麗な芝生のコートが街のあちらこちらに整備されていることに強い印象を持ちました。
みなさん、英国へ行かれる機会がありましたら、是非、「不思議なスポーツ」を探してみてください!
※下記に掲げた写真は、街中で見つけたボウリング・グリーンのコートです。