東海大学マイクロ・ナノ啓発会(Tune)の第9回学術講演会を開催しました

東海大学マイクロ・ナノ啓発会(Tune)の第9回学術講演会を、8月24、25日に熊本キャンパスで開催しました。東海大学の医学・理学・工学などの各分野で展開されているマイクロ・ナノサイズ領域における研究内容の相互理解を深め、学内外との共同研究につなげることを目的に若手研究者が中心となって本会を開いています。今回は学生や教職員ら約150名が参加しました。

24日にはオーラルセッションを実施。最初に、マイクロ・ナノ研究開発センターの喜多理王教授(理学部物理学科)が、「東海大学マイクロ・ナノ研究開発センターの現在と未来」と題して講演しました。同センターの基盤技術である高分子超薄膜を用いて、きわめて保水効果の高いナノラッピングシートを作製し、細胞や組織を生きたまま観察できるようにする技術や、局所的なPHの測定を可能にするマイクロニードル型センサの開発、マイクロ流体デバイスを用いた筋萎縮性側索硬化症(ALS)のメカニズム解明など、現在進めている研究の現状や今後の展開について説明しました。続いて、太陽化学株式会社の南部宏暢氏が、「グリーテクノロジーを拓く~『食べる』を研鑽して環境・エネルギーへ挑む~」と題して、同社で研究・開発している機能性素材「サンアクティブ」の事例を紹介。「物理と化学、薬理学を一つの素材の中に入れたのがこの素材です。今後は学問分野の境目にあたる界面領域が産業になります。東海大には、技術を育てていくためのパートナーになってほしい」と語りました。

その後、農学部応用動物科学科の今井早希助教と総合農学研究所の今川和彦教授が講演。今井助教は「マウスの行動を制御する分子メカニズムの解明」のテーマで、マウスの生体リズムを制御する脳内の遺伝子を解明する研究の成果を紹介。また今川教授は、ウシの精子が卵子に着床してから胎盤が形成されるまでのメカニズム解明を目指す研究を紹介しました。

25日にはポスターセッションを実施し、理学部や工学部、理学部、情報通信学部、農学部から38件の発表がありました。会場では、学生や教職員同士が互いの研究を紹介。研究手法や内容の共通点、今後の連携の可能性などについて意見を交換しました。ポスターセッション終了後には、優秀発表者の表彰式も開き、工学研究科応用理化学専攻2年次生の薮野利佳さんと農学部バイオサイエンス学科4年次生の原口梨花さん、大学院情報通信学研究科情報通信学専攻1年次生の千葉恵さんがベストポスター賞を受賞しました。薮野さんは、「普段は接することがない学部の人たちから研究の話を聞く貴重な機会になりました。私と同じような内容を研究している他学部の学生とも意見を交換して、今後につながるアドバイスをもらうことができたことも大きな収穫でした」とコメント。原口さんは、「工学や理学など、分野横断型の研究に触れ、東海大では幅広い分野で人に役立つ研究がされていることを実感しました。公的なイベントで研究発表をするのは今回が初めてでしたが、自分に自信が持てるようになりました」と語りました。また千葉さんは、「これまでも企業の担当者などを対象に研究内容を説明したことがありましたが、異分野が専門の人に紹介するのは今回が初めてでした。できる限り分かりやすく伝えようと工夫する中で、今後同じような機会でも生かせる説明方法を知る道筋がついたように思います。さまざまな分野の研究者や学生が集まる機会では、専門の学会などとは異なる視点からの発想を学ぶことができるので、とても有意義だと感じました」と話していました。

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