大学院工学研究科を2021年度に修了した江口陸生さんと同研究科1年次生の星野光稀さんがまとめた論文「Sb2Te3 nanoparticle-containing single-walled carbon nanotube films coated with Sb2Te3 electrodeposited layers for thermoelectric applications」が4月8日付けで、国際科学ジャーナル『Scientific Reports』に掲載されました。
2人が所属する高尻雅之教授(工学部)の研究室では、熱を電気に変換する熱電変換材料の研究を展開しています。今回の論文は、優れた耐久性と柔軟性を持った熱電材料「単層カーボンナノチューブ」に関するもの。ウェアブル端末をはじめ、各種センサーの電源への活用が期待される一方で、そのためにはさらなる熱電性能の向上が必要とされています。そこで、江口さんと星野さんは単層カーボンナノチューブの特性を生かしつつ、発電効率を上げるために無機化合物「テルル化アンチモン」を単層カーボンナノチューブ薄膜に電着コーティングする新技術を発案。その結果、4.7倍の熱電効率をすることに成功しました。
指導に当たる高尻教授は、「熱電効率の向上により、カーボンナノチューブに関する研究の幅がさらに広がりました。今後も大学院生や学生とともによりよい熱電変換材料を追求し、社会実装へとつなげていきたい」と語り、星野さんは、「論文掲載までには何度もデータを取り直してきたので、江口さんをはじめ先輩方の熱心な姿勢を学びながら、研究に取り組むことができました。今後はコーティングする材料を変えてさらなる熱電効率向上を目指します」と話しています。