大学院生のミュチュアさんと吉田さんが国際会議でポスター賞を受賞しました

源馬龍太准教授(工学部)の研究室に所属するエリック マサック ミュチュアさん(大学院工学研究科応用理化学専攻2年次生)と吉田有章さん(大学院総合理工学研究科総合理工学専攻1年次生)が、6月24日から28日までギリシャで行われた「International Conference on Diffusion in Solids and Liquids(固体および液体の拡散に関する国際会議)」でポスター賞を受賞しました。源馬准教授の研究室では、水素の吸蔵や取り出しを可能にする「水素吸蔵合金」や、「二酸化炭素のメタン化」に関する研究を行っています。

水素エネルギーは世界的に二酸化炭素排出量の削減が求められる中で注目されていますが、気体水素を貯蔵する上では、軽い材料で作られた水素吸蔵合金に水素をできるだけ多く貯蔵することが重要です。国際協力機構(JICA)留学生のマサックさんが発表した研究テーマは、「Mg(マグネシウム)の水素吸蔵特性について」で、金属の中でも特に軽いMgで作製された水素吸蔵合金が持つ、水素を吸蔵する際や取り出す際の反応速度が遅いという課題が、Nb(ニオブ)の酸化物を入れることで改善される具体的な理由を解明するものです。マサックさんは、「Nbの酸化物を入れる改善方法はすでに他の研究者によって提示されていましたが、その酸化状態が反応速度に影響を及ぼしているのではないか」と研究を始め、導いた結果が仮説通りとなったことをまとめました。「もともと再生可能エネルギーに関心があり、関連研究を進められる東海大学を留学先に選びました。今回の発表を通して新たな研究のヒントを得られたので、引き続き学びを深めていきたい」と話しています。

吉田さんは、「CaCO₃(炭酸カルシウム)からのメタン生成に対するLa(ランタン)添加の影響」をテーマに発表。カキ殻などの廃棄物にも含まれるCaCO₃を加熱し、発生したCO₂を水素と反応させてメタンに変換する際に、その間の触媒としてLaを添加することで生成されるメタン量の変化を確認しました。「地球温暖化の原因であるCO₂を都市ガスの主成分であるメタンに変換するなど、現代では資源を循環させる技術が求められており、炭素材料の原料にもなるメタンにはさまざまな可能性が広がっています。国際会議には初めての参加で緊張もありましたが、専門知識を持つ方々と英語で意見交換できて、非常にいい経験になりました」と話しました。

指導に当たる源馬准教授は、「彼らの発表を見ながら、私が大学院生として初めて学会で発表したときのことを思い出しました。慣れない環境での発表で緊張もあったと思いますが、参加した2名が受賞したことを大変うれしく思っています」と語りました。