大学院工学研究科の畑中さんが日本機械学会2024年度年次大会の「第30回卒業研究コンテスト」で優秀賞を受賞しました

大学院工学研究科機械工学専攻1年次生の畑中悠希さん(指導教員=工学部機械システム工学科・砂見雄太准教授)が、9月8日から11日まで愛媛大学で開催された日本機械学会2024年度年次大会の「第30回卒業研究コンテスト」で優秀賞を受賞しました。このコンテストは全国の機械系学部の学生が4年次に行った卒業研究の成果を発表し、研究内容や予稿集原稿の完成度、質疑応答の的確さなどの観点から評価され、優れた発表が表彰されるものです。

畑中さんの発表のテーマは、「スパンボンド不織布の繊維密度偏在がトラフ発生に及ぼす影響」です。不織布はその名のとおり織らずに作られる布で、繊維をランダムに重ねた「ウェブ」と呼ばれるシートを結合させ、より大きなシート状に形成して作られます。従来の主たる製造方法が、最初に樹脂から糸に加工し、次に糸から不織布への加工と2段階の工程を経ていたのに対し、スパンボンド法では樹脂から不織布の形成まで一貫して製造できることから、低コストで生産速度が速く大量生産が可能となり、スパンボンド不織布はマスクやオムツなど身近な製品に多用されています。

畑中さんは研究の内容について、「スパンボンド不織布は巨大なローラーに巻きつけながら効率的に製造しますが、その工程でトラフ(シワ)が生じるとロール一つ分丸ごと不良品になり、一連の工程を停止せざるを得ないなど大きな損失が生じます。トラフ発生の原因が、ウェブの繊維分布にランダム性(ムラ)があり密度分布にバラつがあるからではないかと推測し、コンピュータによるシミュレーションや画像解析を駆使して、繊維密度の偏在とトラフ発生の関係性を証明しました」と説明。「学会発表に向けた準備の過程で、日本の不織布生産量は下がっていないのに輸入量が増えていることから、需要は高いのに国内生産だけでは賄えていない現状を知りました。厚さが均一なフィルムなどと異なり、スパンボンド不織布のように不均衡な厚みのある素材をいかに効率よく生産するかは喫緊の課題です」と話しました。

学会での発表に際しては、「不織布の生産を安定させるために、いかにウェブハンドリング技術が重要か伝えることを念頭に発表しました。同時に発表するライバルたちの研究内容も踏まえ、自分が手がけている研究の稀少性と重要性をアピールしました」と振り返りました。今後の抱負について、「ウェブハンドリング技術の研究は工学部の故・橋本巨先生が築かれた東海大が誇るテーマです。いずれ博士課程に進み、砂見研究室で取り組んでいる多分野の研究テーマから得た刺激で視野を広げ、学位論文につなげたい。国内の技術をさらに高度化するために、さらに研究を進めます」と話しています。