工学部の堺教授が「日本原子力学会熱流動部会賞」を受賞しました 

工学部機械工学科の堺公明教授が、3月12日から14日までオンラインで開催された日本原子力学会2025年春の年会で、第22回「日本原子力学会熱流動部会賞業績賞」を受賞しました。同賞は、熱流動分野における学術上または技術上の顕著な業績のあった個人やグループが表彰されるもので、堺教授は「高速炉の熱流動及び安全解析手法の高度化及び安全・技術基準の構築」として受賞しました。

堺教授は、ナトリウム冷却高速炉が特に有するさまざまな熱流動現象の数値解析技術開発と検証、手法の高度化に大きく貢献し、高速炉熱流動設計分野において世界をリードする研究業績を多く残しています。また、新型転換炉や鉛冷却高速炉の熱流動解析技術開発にも携わり、1995 年に起きた高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故時の熱電対(温度センサー)の流力振動、 2002 年に発生した国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)東海再処理工場(現・再処理技術開発センター)のガラス溶融炉における電極損傷について数値解析によってメカニズムを明らかにし、事故原因の究明に尽力。さらに、東京電力福島第一原子力発電所の事故で問題となった外部ハザードに対する確率論的リスク評価やシビアアクシデントの評価手法開発にも取り組みました。第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)における高速炉の安全設計クライテリア及び安全設計ガイドライン制定や安全基準構築にも関わり、高速炉の実用化を見据えた研究成果の社会実装に貢献しています。受賞は、以上のような功績に加え、教員として本学における原子力人材育成や国際会議、学会活動などが高く評価されたものです。

堺教授は受賞について、「日本原子力学会の熱流動部会は熱流動分野の専門家の集まりであり、私が最初に入会した学会です。この賞は学会入会以来の約40年間、数々の局面を共に乗り越えてきた研究機関の仲間や電力事業者、企業のエンジニア、さらに東海大における学生たちとの研究活動の足跡という『業績』だと考えています。これまで私が関わってきた全ての皆さまに感謝します」と話しています。