工学部機械工学科の砂見雄太准教授がこのほど、大学発ベンチャーとして「株式会社SUNAMI」を設立しました。同社は、紙、フィルム、銅箔などの薄膜を大量生産するために広く用いられている「ウェブハンドリング技術」のうち、製品を巻取る際に発生しやすいしわや歪みなどを予測するシミュレーションソフトと試験装置の販売などを手掛ける企業です。
ウェブハンドリング技術は、ロール状に巻かれた紙やフィルムなどを印刷機に搬送し、印刷する技術のこと。なかでも、ロール状の紙やフィルムを送り出して印刷し、それをまた巻き取ってロール状にすることを「ロールトゥロール(R2R)」といいます。東海大学では、橋本巨工学部元教授が中心となり長年にわたってこの技術を研究してきました。砂見准教授はこれまでの成果をさらに発展させるべく研究を重ねています。(株)SUNAMIでは研究成果をもとに、AI技術などを手掛ける株式会社クロスコンパスと共同でソフトウェアを開発。小型で安価な試験装置と組み合わせて使うことで、特別な知識や経験がなくても製品の物性を評価できる商品を販売する予定です。
砂見准教授は、「医療やコンピューターなど幅広い分野で、より小さく、薄い部品の開発が進む中、高性能なバッテリーやより薄い薄膜を作る技術へのニーズが年々高まっています。中小企業などからそうした分野に参入する企業も増えているのですが、品質を正確にチェックするためには、高額な試験装置や高いノウハウが必要になる点が大きな課題となっています。(株)SUNAMIでは、これまで研究室で培ってきた技術をもとに、中小企業でも利用できる簡便な試験装置を提供したいと考えています。また事業の海外展開も見据えつつ、将来的には東海大学にウェブハンドリングの研究拠点をつくりたい」と話しています。