工学部機械システム工学科の山本佳男教授(工学部長)と学生が、伊勢原市の災害現場のドローン計測を実施しました。8月5日に湘南キャンパスで開催した秦野市・伊勢原市共同消防指令センターと両市危機管理部門の担当者、本学の関係者による「災害救助に活用するドローンに関する意見交換」を受けて実施したものです。



今回は、伊勢原市危機部危機管理課の担当者立ち合いのもと、昨年8月30日の台風10号に伴う豪雨により崩落し、現在は復旧工事が進められている国道246号新善波トンネル付近と塔の山緑地公園を計測しました。9月24日には新善波トンネル付近の土砂崩落現場周辺を、10月21日には塔の山緑地公園近隣のがけ崩れ現場の上空に3次元レーザースキャンセンサとサーマルカメラを搭載したドローンを飛ばし、約500m四方の範囲を計測。現場の全容を把握できる詳細で鮮明な3次元マップ作成しました。


計測には工学部の4年次生2人も参加。機材の準備や操作などを担当しました。山口真生さんは、「ドローン操作の経験を積んできましたが、これほど広域の観察に立ち会うのは初めての経験。実際に現場でどのように運用すればよいのか、とても勉強になりました」とコメント。マレーシア出身のムハンマド・ハファスズッティンさんは、「技術者として日本企業に就職することになっているので、今日の貴重な経験は必ず役立つと思います」と話しました。



山本教授は、「航空写真では上空から生い茂る木々しか見えない山も、3次元レーザースキャンを使うと、その下の土地の傾斜など山の形状も正確にわかります。今回は発災から時間が経過して復旧が進んだ現場の観察でしたが、被災直後にドローンで全体像を把握できていれば効率的な対策につながるでしょう。平時の観察データを蓄積して比較分析を続ければ、地形の変化もわかり、あらかじめ崩れやすくなっている危険個所を予測できる可能性もあります。また、赤外線カメラを搭載すれば生体の温度を感知できるので、早急な被災者救出や超獣害対策など、多くの課題に対応できます。8月の意見交換会で検討されたように、防災では地域連携が非常に重要です。今後も本学の知見を生かし、検証を重ねて地域の災害を未然に防ぐ対策実用化に尽力できれば」と話しています。