大学院工学研究科電気電子工学専攻1年次生の渡邉雄太朗さん(指導教員=工学部電気電子工学科・稲森真美子准教授)が、10月15日から17日までタイのキングモンクット工科大学北バンコク校(KMUTNB)で開催された「アジアワイヤレス電力伝送ワークショップ(AWPT)2025」のヤングエンジニアセッションに参加。最優秀学生賞を受賞しました。AWPTは、ワイヤレス電力伝送技術に関する最新の技術や研究開発に関する動向の共有を目的に開かれており、専門家・研究者らによる技術的な課題や最先端の解決策をめぐる発表や議論が交わされ、若手研究者の活躍も促進しています。
渡邉さんは、「海水中におけるワイヤレス電力伝送システムのアンテナ評価」をテーマに発表しました。近年、海底探査や水中施設の保守のために導入されている自律型水中ロボットに不可欠なワイヤレス電力伝送は、ケーブル接続やバッテリー容量などの制限を克服する有望な解決策として注目されています。海水中での伝送効率は空気中に比べて低下しますが、損失が増加します。渡邉さんの研究は、その損失を解析するために設計されたターン間のピッチ間隔を持つコイル構造を評価したものです。


実験では、容量120Lの大きな実験用の水槽に海中の塩分濃度に近くなるよう塩化ナトリウムを投入。その中に直径140mm、長さ50mmのアンテナを投入して、伝送効率を測定しました。「大型水槽に水を入れることから始める実験環境を整えるのが、肉体的にも重労働で苦労しました」と振り返る渡邉さん。「その甲斐あって、アンテナのピッチ間隔や塩分濃度に対する変化の影響を解析することができました」と成果を語ります。
渡邉さんにとって初めての英語での研究発表でしたが、「稲森先生や先輩方を前に練習を積みました。発表当日は2時間にわたりポスターを掲示し、多くの人の質問に答えました。実験では検証しきれていないところを突かれる質問もあり、次の目標ができました。今後は研究をさらに進めるとともに、英語力も磨きたい」と手応えを話します。稲森准教授は、「渡邉さんの素直でものおじしない性格が、真摯な研究姿勢と初めての英語発表にも関わらず見事な成績につながりました。後輩たちにもチャンスを捉えてどんどん世界に出てほしいと思います」と話しています。