大学院総合理工学研究科を2025年秋に修了した杉山直輝さん(指導教員=落合成行教授)がこのほど、「日本設計工学会2025年度奨励賞」を受賞。5月23日に明治大学駿河台キャンパスで開催された同学会26年度春季大会通常総会で賞状と賞牌が授与されました。『設計工学会誌』に掲載された論文「高速度カメラを用いた尿素SCRシステム内の気液二相流の可視化(可視化実験装置の構築および PIV 解析によるガス温度の影響比較)」が評価されての受賞です。

杉山さんの研究は、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化する尿素SCRシステムを対象に、排気管内を移動する流体の速度分布を基に得られた係数を用いて抗力を算出する過程を示し、数値解析の精度向上を目指したものです。システムの構造を模擬した実験装置の一部をガラス管に置き換えることで、排気管内を流れる気体および噴霧された尿素水の動きを高速度カメラで可視化。取得した画像をPIV解析することで、気体と液滴それぞれの動きから排気管内の速度分布を計算し、さらに、気体と液滴の速度差から液滴に働く抗力を求めました。その結果、排ガス温度の変化によりガスの速度が変わり、液滴にかかる力も変化することを解明。実際の流れに基づいた抵抗係数を用いることで、従来よりも数値解析の精度向上が期待できることを示しました。
杉山さんは23年春に一度、大学院博士課程を満期退学し、現在勤務している自動車関連企業で研究開発に携わってきました。その後、博士課程に再入学して研究と論文執筆に取り組んできました。「日常の業務をこなしながら週末に論文を書くのは大変でした。実験で得た数値解析に汎用性を持たせる方策を探り、内外のあらゆる論文を読み漁ったのは貴重な経験です」と振り返ります。「今回の評価は、研究のイロハから、のめりこむほど好きになる魅力までを教えてくれた落合先生や野原徹雄先生(総合科学技術研究所特任教授)をはじめ、多くの先輩方のおかげです。研究の継続は苦しいこともありますが、真摯に向き合い苦労して得たものは必ず糧になります。後輩の皆さんも、ぜひ悩んで自分なりの答えを出してほしいと期待します」と話しています。