大学院工学研究科2年次生の矢吹さんが執筆した論文が『Scientific Reports』に掲載されました

大学院工学研究科応用理化学専攻2年次生の矢吹隼人さん(指導教員=工学部材料科学科・高尻雅之教授)が執筆した論文「Flexible thermoelectric films formed using integrated nanocomposites with single-wall carbon nanotubes and Bi2Te3 nanoplates via solvothermal synthesis」が昨年10月12日に、科学ジャーナル『Scientific Reports』電子版に掲載されました。

矢吹さんは、熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる新材料「熱電素子」の研究に取り組んでいます。なかでもビスマステルルという合金とカーボンナノチューブを使った、新たな素子の開発に取り組んでいます。従来はこれら2つの材料を使った素子の製造法は明らかになっていませんでしたが、今回の論文ではビスマステルルとカーボンナノチューブの原材料を事前に混ぜ合わせて高温・高圧をかけると熱電素子として合成できることを発表。走査型電子顕微鏡で構造を分析するときれいな結晶ができていることや、性能試験でも従来のものの2倍の性能が出ることも明らかにしました。なお矢吹さんはこの技術で特許も取得しています。

「厳しい査読があり、日ごろから研究の参考にしているジャーナルに自分の論文が掲載されたことに感謝しています。高尻先生には学部1年次生のころからお世話になっており、今回の論文も先生の指導と仲間たちの協力があったからこそ完成させられたと感じています。材料の合成には無限の可能性があり、実験をするたびに新しい発見があるのも魅力です。これからもしっかりと勉強を重ね、より高い熱電素子の開発につなげていきたい」と話しています。