大学院工学研究科応用理化学専攻1年次生の横瀬颯人さん(指導教員=マイクロ・ナノ研究開発センター/工学部応用化学科・岡村陽介教授)がこのほど、日本MRS年次大会の奨励賞を受賞しました。同大会は、さまざまな分野の専門家が領域や分野にとらわれず、日本の材料研究開発や技術発展に向け、横断的に議論する場として毎年開催されています。横瀬さんは、昨年12月5日から7日まで横浜市の産業貿易センターなどで開催された同大会で、「新規異方性材料としてのナノファイバー分散体の創製とユニークな物性」に関する研究成果を発表。その内容が評価され、奨励賞を受賞しました。
横瀬さんが発表した研究は、病原体分析に使用する微粒子の形状を変形させ、分析の効率化を図るもの。一般的に検査で使用される微粒子は真球状ですが、横瀬さんは微粒子の代わりに極めて細い繊維(ナノファイバー)を用いることで表面積が大きくなり、病原体等がより付着しやすくなると考え、2年前から実験を重ねてきました。今回の発表ではその成果をまとめ、真球状微粒子と比較して約4倍の感度で病原体の検出が可能になったことを報告しました。
横瀬さんは、「幼いころから釣りが趣味で、釣り糸の種類によって強度や加工のしやすさが変化することが不思議で、繊維に興味を持ちました。学部生時代に基礎知識を学び、研究室に所属してからは岡村先生をはじめ、仲間の協力も得て研究を進展できています」と語り、「今回の学会大会には、多様な分野で活躍する研究者が集っていたので、評価されて自信につながりました」と笑顔を見せていました。岡村教授は、「横瀬さんはどんなに地道な作業でも努力を惜しみません。その姿勢は研究室の模範にもなっており、リーダーシップも発揮してくれています。これからも、さらなる研究成果を残してくれることを期待しています」と話しています。