「親子で体感する森林セラピー」を開催しました

健康学部健康マネジメント学科では11月3日に、神奈川県秦野市のはだの表丹沢森林セラピー基地のくずは峡谷コースで「親子で体感する森林セラピー」を開催しました。森林での活動は心身の健康によい影響を与えるという報告がありますが、今回は親子の情緒的交流(アタッチメント)に着目して参加者の行動や心身の変化などを研究・分析しようと企画したもの。秦野市と連携して教員4名と学生10名で運営し、小学生の親子連れ6組12名が参加しました。

午前中は子どもグループと大人グループに分かれてプログラムを実施しました。子どもグループは“隊長”に扮した秦野市のネイチャーガイドが「みんなで探検隊になって、宝物探しに出かけよう」と声をかけ、辺りを散策。植物を触ったり、ヒノキの実を割ってにおいをかいだり、河原では色のついた小石を探したりしながら、宝物を集めていきました。大人グループは、目をつぶって周りでどのような音がするかを聞き分けるプログラムや、植物の手触りやにおいを体験した後、各自が集めてきた植物にお湯を注ぎ、お茶にして味わいました。親子が合流して宝物を見せ合い、秦野産野菜や米を使った特製のお弁当などを楽しみました。午後はビンゴカードに書かれた「すべすべ」「やわらかい」「あたたかい」といったキーワードに合うものを、親と子で言葉を使わずにジェスチャーだけで探すゲームに挑戦。手をつなぎ、目をつぶった子どもの手を親が引いて吊り橋を渡ったり、シートの上に寝転んで呼吸法とボディワークを行ったりと、多彩なプログラムを実施しました。

姫野星南さん(4年次生)は、「普段なら素通りしてしまう植物や生物にも目が向き、子どもたちと一緒に触ったり、においをかいだりしていたら、あっという間に6時間が過ぎていました。午後のプログラムではビデオカメラを持って親子の様子を観察しましたが、互いにしかわからないコミュニケーションや行動があり、アタッチメントについても座学で学ぶだけでは気づかなかったことを学べました」とコメント。奥山きひろさん(2年次生)は、「森林セラピーに興味はありましたが、なかなか一人で参加することはできなかったので、貴重な経験になりました。大人グループのプログラムに一緒に参加し、心が癒され、イライラしたりストレスを感じたりすることもなく、身を持って効果を実感できました」と振り返りました。

研究代表の舳松克代准教授は、「森林セラピーによる効果は脳波や唾液、脈拍などを測定・解析することで科学的に検証されていますが、子どもや親子への効果や、対人交流がどのように生まれ、変化するかは解明されていません。動画のデータや記録をもとに解析を進めるとともに、今後も定期的に開催することで結果を蓄積していきたい。また、心理学、運動生理学、ソーシャルワークといった多分野からの参画によって健康学部らしい学際的な研究や教育に生かしていきたい」と展望を語りました。