スポーツ医科学研究所と健康学部の教員が、10月に開催された第63回技能五輪全国大会の自動車板金職種で金賞受賞など多数の入賞を果たした日産自動車株式会社の自動車板金チームをサポートしています。技能五輪は、国内の青年技能者(原則23歳以下)を対象に、機械の組み立てや工作、金属加工、建設、電子技術、情報通信、サービス・ファッションなど幅広い職種で、多様な技術の習熟度を競う大会です。12月8日には、同チームの受賞選手や選手たちをサポートする日産テクニカルセンターの関係者やコーチ陣が湘南キャンパスを訪問。木村英樹学長と懇談しました。
選手へのサポートは、健康学部所属でスポーツ医科学研究所所員でもある遠藤慎也助教が、同センター関係者から「技能五輪出場選手のコンディショニングや筋疲労の改善に関して科学的な支援を受けたい」との相談を受けたことがきっかけで今年7月からスタートしました。スポーツ医科学研究所の山田洋所長をはじめ、遠藤助教と同様に健康学部所属でスポーツ医科研研究員の西垣景太准教授、安田純講師も加わり、選手へのヒアリングをはじめ、それぞれの専門的観点からメンタルや食事・栄養、動作解析、リカバリー(回復)など多角的な視点で直接選手を指導する指導員の方々への助言や提案などに取り組んできました。



木村学長との懇談では、日産から金賞を獲得した吉田将選手らが技能五輪で競技時間といった概要をはじめ、課題のレプリカを用いて金属板の加工方法や評価のポイントなどを説明。工学部の教員であり、長年にわたってToCoチャレ「東海大学ソーラーカーチーム」の監督を務めるなど金属加工技術にも知見の深い木村学長と金属板を叩いて曲げる作業の難しさや挑戦的な技術について意見を交わしました。また、大会の1カ月半前から毎日7時間の練習に取り組む中で、短時間で金槌を振るためにアスリートのようなトレーニングスケジュールと栄養管理の重要性が語られ、本学教員によるサポートによって、メンタルケアや競技中のプレッシャー管理、カフェインの摂取量の調整などの効果が語られました。

遠藤助教は、「サポート開始以来のさまざまな取り組みの積み重ねが、選手たちのパフォーマンス向上につながりました。今後も継続的なサポートを依頼されていることもあり、今後は共同研究として発展させたい」と語り、山田所長も、「今回の取り組みはまだ始まったばかり。今後本研究所を中心として日産テクニカルセンターとさらなる協力関係を構築できれば」と強調。木村学長は、「日産テクニカルセンターでは本学卒業生も多く勤務しているので、共同研究契約の可能性を探り、選手育成だけでなくスタッフ全体をサポートする取り組みへの拡大も検討していきましょう」と語りました。
