芸術学科松本奈穂子研究室による学外連携企画の一環で、9月に東京藝術大学音楽学部器楽科オルガン専攻の学生さん3名がスタジオ・ソナーレのパイプ・オルガンを試奏にいらっしゃいました。
松本研究室では本学の古楽器を学内教育の他、学外で古楽器の価値を理解し愛する方々や関心のある方々にも紹介する機会を作っています。モダンピアノで当該楽器が使用されていた時期に作曲された作品演奏能力をお持ちの方々にも、体験レッスンなどの機会を提供しています。
今回は東京藝術大学音楽学部器楽科でオルガンを専攻し、日々練習に励んでおいでの学生さん3名の方に試奏においでいただきました。東京藝術大学では前身である音楽取調掛の時代からオルガン教育の伝統が続いており、今も大小7台のオルガンを用いて教育・演奏が行われています。他の古楽器同様にパイプ・オルガンも一台一台がオーダーメイドで音色もタッチも異なるため、様々な楽器に触れることは非常に大きな学びとなります。
両日とも松本先生が立ち会う中、試奏が行われました。はじめに分割ストップやカプラーなど本学オルガンの基礎的機能紹介が松本先生からあった後は、皆さん自在に音の組み合わせを工夫し、集中して試奏していらっしゃいました。試奏曲は「装いせよ、愛する魂よ(ライプツィヒコラールより)BWV654(J.S.バッハ作曲)」、「トリオ・ソナタ第6番(J.S.バッハ作曲)」、「わが青春はすでに過ぎ去り(J.P.スウェーリンク作曲)」、「トッカータ7番(G.ムファット)」などです。楽器に慣れたころに、松本研究室の演習・実習系授業に参加している学生が、試奏を見学するための時間を少しいただきました。
終了後、今回初めて来校くださった学生さんは「辻(さん製作の)オルガンなので、試奏をとても楽しみにしてきました。音色の工夫でバロック時代だけでなく異なる時代の作品も演奏が可能でした。芸大にも同じ規模のオルガンはありますが、楽器そのものの個性も置かれている環境も一つ一つ異なるので、大変良い経験になりました。また演奏してみたいです。」と感想を述べてくださいました。
試奏を聴かせていただいた松本研究室で今期ヴィオラ・ダ・ガンバの実習授業履修学生は、演奏者によって同じレジストレーションでも全く異なる音が出ていることに驚き、響きの美しさに耳を傾けていました。松本先生は「試奏においでくださった皆様、遠路ありがとうございました。喜んでいただけて大変嬉しいです。毎日何時間もオルガンの練習を続け、楽器と真摯に向き合う日々を送っている皆さんに試奏いただけて、楽器も大変喜んだと思います。オルガンは個人で所蔵することはなかなか難しく、練習場所も演奏披露の場所も限られます。オルガン演奏を習得し、様々な楽器で奏法を磨きたいとお考えの演奏者の方々に触れていただける機会を、本学の貴重なオルガンでこれからも作っていきたいと思います」と述べました。


