大学院環境学研究科では10月29日にオンラインで、FD研修会を開催しました。本研究科では組織的な研修を通して教育・研究の質を高めるために、毎年多様なテーマで企画しています。今回は、地球環境学の総合的研究を推進する大学共同利用機関である総合地球環境学研究所の「グリーンナレッジセンター」から講師を招き、環境分野での連携・研究協力の可能性について情報共有や意見交換を実施しました。

総合地球環境学研究所は2001年に設立され、「地球環境問題の根源は、人間の文化の問題」をモットーにさまざまな研究を展開。グリーンナレッジセンターは、グリーン社会への変革のための研究の推進と、その成果を地域社会に還元・拡大することを目的に今年4月に開設されました。研修会では初めに、本研究科の勝田悟教授があいさつし、「本研究科では、自然科学、社会科学、人間科学の境界領域を扱っており、試行錯誤している最中です。今日は最先端の研究についてお聞きできればと思います」と話しました。
続いて、グリーンナレッジセンター特任助教の三輪耀大氏が、「『グリーンナレッジセンター』とは~未来社会を共に創る知識のプラットフォーム~」と題して講演しました。同研究所が目指す「人と自然の関係のあるべき姿を描き、未来可能な地球社会を実現する」という理念の下、自然科学だけでなく社会・人文科学を含めた多角的なアプローチに取り組んでおり、全国の大学と連携した環境研究の拠点であることを説明。「技術の発展により、私たちの無意識な暮らしが環境負荷となって複雑に要因が絡み合い、環境破壊を引き起こしている可能性があります。私たちは、技術に依存せず根底にある人の意識を変えることで、グローバル課題の抜本的解決に貢献する“グリーン社会変革”を目指しています」と話し、全国の大学や自治体、研究機関と連携した共同研究や人材育成など、具体的な事例を解説しました。また、同研究所が事務局を務め、東海大学を含む全国200以上の大学が参加するネットワーク「カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」を活用した、教育資源の共有、人材育成、基盤形成といった横断的な取り組みを紹介。最後に参加した教職員に向けて、「この研修を出発点にそれぞれの学びの現場で実践につなげていただき、次の協働へとつなげてください」と語りかけました。
講演後の質疑応答では、研究成果の共有や人材育成の手法、企業との取り組み事例など多様なテーマで意見が交わされました。