「フェアトレード最前線~生産と消費の現場をつなぐ~」を開催しました

教養学部では12月17日に逗子文化プラザ・市民交流センターで、公開イベント「フェアトレード最前線~生産と消費の現場をつなぐ」を開催しました。逗子市は行政、企業、市民団体などが一体となってフェアトレードの輪を広めようと取り組む「フェアトレードタウン」に認定されており、フェアトレード産品の普及や、イベント、授業などを通して市民の国際理解を深めようと活動しています。今回の催しは、東海大学教養学部 SOHUM「アースミュージアム」プロジェクト(※)の「人間学2」を履修している3年次生10名が「逗子フェアトレードタウンの会」に協力し、世界の今と私たちの暮らしとのつながりを考える「国際文化フォーラム in 逗子」の連携企画として実施しました。

当日は、平井竜一逗子市長のあいさつに続いて、特定非営利活動法人「ACE(エース)」代表の岩附由香さんが講演しました。インドやガーナで子どもたちを危険で有害な労働から守り、教育を支援する活動に取り組みながら、製菓会社と共同でフェアトレードのカカオ豆を使ったチョコレートを開発しているといった活動内容を紹介した岩附さんは、「支援期間を過ぎても子どもたちが労働をせず、適切な教育を受けられるように、現地の人たちの意識を変えていくことが重要です。2009年からは”しあわせへのチョコレートプロジェクト”を立ち上げ、日本の企業や消費者と協力して児童労働のないチョコレートが当たり前に手に入る社会の実現を目指して活動しています」と話しました。次に、オーガニック食材を扱う有限会社陰陽洞の福田妙子さんが登壇。「お客さんと話をしていると、フェアトレードについてよく知っている人と知らない人の格差が大きいように感じます。商品の説明をするときに生産現場の状況もあわせて伝えていくことを大切にしています。現地の人が食べているものをそのままフェアトレード商品として扱っていけるよう、新しい商品の開発も手がけていきたい」と今後の展望を語りました。

その後、学生たちが2チームに分かれて”自分たちにできること”をプレゼンテーションしました。チョコレートチームは、フェアトレードに対する認知度の低さを紹介しながら、バレンタインのキャンペーンを例にSNSを生かした情報発信やプロモーションについて提案。「若者のフェアトレードの意識を高め、逗子市にその商品を買いに来てもらえれば」と話しました。ファッションチームは、東海大生に行った「どこの国で作られた服を着ているか、服を選ぶ基準、どこで買うか、フェアトレードを知っているか」についての調査・インタビュー結果を披露し、「若者向けではない、男性物の服が少ないという課題が見えてきました。逗子市のように中学校や高校でフェアトレードについての授業を取り入れ、学校の制服に使うことで身近に感じてもらったりできればいいと思います」と語りました。

参加者からは、「フェアトレードについて自分の中であいまいだった部分が解決でき、すっきりしました」「世代や立場の違う方々のお話は面白く聞きました。やはり、最前線の方の新しい情報は刺激的でした」といった感想が聞かれました。

※「SOHUMプログラム」
教養学部の学生たちが専門能力を生かして協働しながら、それぞれが役割を担い、社会的な課題を解決する行動力を磨く教育プログラム。社会を形成している基盤や仕組み、自らの技能や知識といったハードとソフトを動かすヒューマンウェア(=社会的役割を担う力)を、一人ひとりが身につけることを目標としています。8つのプロジェクトからなり、今回のイベントを企画運営する「アースミュージアムプロジェクト」では、私たちが便利で快適な生活を送ることができるようになった一方で、明日の暮らしが保証されていない人々もいるという問題の本質に日本人のライフスタイルが深く関係しているとしたら、これからをどう生きるべきかを考えるものです。

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