大学院産業工学研究科2年次生の原田裕二郎さんが8月13日、14日に、ドイツ・ベルリンで開かれた国際会議「8th International Conference on Advanced Computer Theory and Engineering」(ICACTE 2015)で研究成果を発表。論文の内容とプレゼンテーション能力が高く評価され、最優秀賞にあたる「Excellent Paper Award」を受賞しました。ICACTEは、IT技術に関する最新の情報を共有することを目的に毎年開催されているもので、国内外の大学や企業の学生、研究員らが集まり、30件以上の発表がありました。
原田さんは基盤工学部電気電子情報工学科の藤本邦昭教授の研究室に所属し、藤本教授と高輪キャンパスにある情報通信学部の吉田正廣学部長(組込みソフトウェア工学科)、福原雅朗講師(同)、福岡工業大学の江口啓教授(工学部電子情報工学科)と共同で研究を進めてきました。ICACTEでは、これまでの成果をまとめた論文「A Minimum Manhattan Distance Retrieving Circuit Using Neuron CMOS Inverters(ニューロンCMOSインバータを用いた最小マンハッタン距離検索回路)」の内容を紹介。人の脳の神経細胞と似た性質を持つニューロンCMOSインバータを、コンピューターの記録装置であるメモリに用いた場合に、従来のものより高い性能を発揮する原理などについて解説しました。
原田さんは、「国際会議での発表は経験していましたが、受賞できたのは初めてでとても光栄です。これまで支えてくださった先生方の手厚いサポートに対して、感謝の気持ちでいっぱいです。このメモリを使えば、コンピューターの画像認証機能が向上し、スマートフォンの指紋認証の速度が上がるなど、数え切れないほど多くの恩恵があります。実用化に向けて研究を重ね、社会に貢献できるよう力を尽くします」と話していました。藤本教授は、「吉田先生をはじめ、福原先生、江口先生とはこの研究に、5年以上前から取り組んできました。原田くんがそこに加わり、若い力でもってさらに新たなデータを蓄積してくれました。今後も発表の場を提供するとともに、学びの環境をよりいっそう充実させていきたい」と語りました。
また原田さんは、8月20日から22日まで、中国・大連で行われた国際会議「The tenth International Conference on Innovative Computing, Information and Control」(ICICIC2015)にも出席。産業工学研究科情報工学専攻2年次生の川上裕之さんとともに研究成果を発表しました。原田さんは2年間で6件目、川上さんは2件目となる国際会議での発表ということもあり、英語でのプレゼンテーションや質疑応答も難なくこなしました。