情報通信学部情報通信学科の渡辺晴美教授がこのほど、一般社団法人情報処理学会から「情報処理学会フェロー」の称号認定を受けました。これは、情報処理および情報通信等の分野での貢献を称え、広く周知されるよう社会的認知度を高めることを目的として、当該分野で学術的または産業的発展・普及・振興などに著しい貢献をした会員に与えられるものです。渡辺教授は、2004年度より本学の講師、准教授を経て、11年より教授。同学会では組込みシステム研究会主査、組込みシステムシンポジウム実行委員長、APRIS General Chairなどを始め、国内外の多数の会議・調査部会の運営に携わってきました。同学会コンピュータサイエンス領域功績賞、研究会活動貢献賞受賞なども受賞しています。

フェロー認証の対象となった業績は、「新技術・ニーズに則した組込みシステム・グローバル教育の創設と継続実施」です。渡辺教授は、ロボット技術教育を進めるロボットチャレンジを創設し、最先端の研究課題を導入する独創的なPBL型教育や、組込みシステム分野の実践的技術者育成を長年にわたり牽引。enPiT事業の連携校代表として教育プログラムの体系化と全国展開を推進し、自動車産業をはじめとする産学連携を深化させるとともに、国際会議APRISを立ち上げ、アジアを中心とした国際的な産学教育連携基盤を構築するなど、研究と教育をつなぐ持続的な仕組みを確立した功績は極めて大きいと評価されました。「認証は多忙な中でも協力してくれた研究仲間や卒業生たちの長期的な視野に立った支援によって実現したもので、非常に感慨深いものがあります。長年にわたり取り組んできたロボットチャレンジやPBL型教育といった教育的業績が評価されたことをとてもうれしく思います」と話します。
渡辺教授は組込みシステムをめぐる教育の状況について、「約20年前の技術一辺倒の時代、ハードとソフトの境界領域である組込み系の学習においてアクティブラーニングの有効性を実感し、モチベーション向上を目指して開始したPBL型教育は、まだまだものづくりの需要が高いアジア全体で根強い感心があり、中国ではデザインシンキング型のアイデア重視教育が盛んになるなど、地域によってバランスが異なります。一方で、日本では情報系学生はコミュニケーション・協働力が弱い傾向があり、今後は文系的スキルの強化が重要だと感じます」と指摘。フェロー認証を受け、「文系的スキル強化のために、日本語教育・第二言語習得の専門家と連携し、専門的な取り組みも開始しました。“イエス”と言った相手がどの程度信頼できるかを見抜くためには、英語力と協働力の両方が必要です。学生の関心はフィジカルAIなど、AIで実現できることの“その先”へシフトしており、教育内容もそれに対応していく必要があります。学生たちに対して、特に日本人が苦手とする情報系のミュニケーション能力を鍛えたい」と今後の抱負を話しています。