東海大学付属高輪台・浦安・相模高校中等部において「法教育」を実施しました

法教育とは、法律専門家でない市民を対象に、法、法過程、法制度、これらを基礎づける基本原則と価値に関する知識と技術を身につけさせる教育であり、自由で民主的な社会を構成する市民の育成の一助となるものです。法教育は、事前規制社会から事後規制社会への変革という司法制度改革の一環として、法務省が主導して検討が進められてきており、今では、大学、裁判所、弁護士会、司法書士会など、多様な機関で実施され、社会に定着しつつあります。

法学部法律学科では、かつて法務省法教育研究会の委員として、我が国における法教育の在り方の検討に参画したことのある、唐津惠一教授の指導の下、法学部法律学科の学生が先生となり、付属校に出向いて「法教育」の出前授業を行っています。
今年は、3月5日から3月17日の間に、高輪台高校中等部2年1クラス、浦安高校中等部1年・2年・3年全12クラス及び相模高校中等部2年4クラス、合計17クラスで法教育を実施しました。
今年も、「ルールづくり」に関する体験的な授業を行いました。
様々な考え方を持ち、多様な生き方を求める人々が、お互いの存在を認め合い、多様な考え方や生き方を尊重しながら、ともに協力して生きていくためのルールをどのようにして作っていくか、ということを生徒たちには体験的に学んでもらいました。
生徒たちに身近な題材として、「中学校におけるSNSの使用ルール」を取り上げ、SNSの功罪を整理したうえで、その使用規制の在り方について、多様な意見が存在することを前提に、グループごとに議論して最適と思われるルールを作る、という流れで授業を進めました。法学部法律学科4年生の河野吏玖さんと佐々木悠理さんの2名のが先生役となり、うまく生徒たちの議論を主導し、生徒たちには、自分の意見をしっかり持ったうえで、それを相手に適切に伝えることの大切さ、多様な意見の存在を前提に結論を導くための方法論等、民主主義社会において必要となる能力やスキルを認識する良い機会になったと思います。フィールドとして場を与えていただいた付属校の先生方には改めて感謝したいと思いますし、来年もまた実施したいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。


【付属高校中等部の生徒たちの感想】
・「今は、SNSがとても身近になっている社会で、このような授業があったから、今でも私たちは便利に楽しくSNSを使いこなせているのだと思います。SNSをもっと便利に使いこなせるように気を付ける事とかを友達、グループの友達と考えたので、みんながSNSについてどのような考えを持っているか理解できました。」
・「この授業を通じて、SNSの利点とリスクについて改めて考えることができました。それを踏まえて、みんなに公平で正しい規則を設けることを意識しながらグループで意見を出し合うことが出来ました。」
・「このような機会はとても貴重なので、体験出来て良かったと思っています。今回の法教育を受けて、SNSについては規制すべきであると改めて実感しました。そして何故制限を掛けるべきかもしっかり理由を自分たちで考え、理解出来ました。」
・「近年、SNSのトラブルが多くなってるように感じます。実際にLINEやInstagramでのやり取りでトラブルになったというのも耳にする今、個人個人がSNSの怖さを再認識することが大切だと思いました。SNSには、楽しさの反面怖さもあります。それらをしっかりと理解し、相手や自分自身を傷つけないように使用していきます。」
・「SNSはとても便利なものだが、使いすぎたり誤った使い方をしたりすると、人を傷つけたり依存したりしてしまう可能性があることを、改めて知ることが出来た。自分では、制限をかけづらいと思うので、これからも使用方法や利用時間を出来るだけ少なくしようと思いました。」
・「私も他の人たちもみんな身近にあるSNSを使用しています。今回の法教育ではSNSの使い方や考え方などが大きく変わりました。例えばSNSといってもたくさんのアプリがあります。ニュースを見るにしてもLINEをするにしてもすべてSNSの上に成り立っています。私は1日を過ごすためにSNSを何度も使用します。もし使えなくなったら家に帰るための電車を調べるのも親に連絡するのもできなくなって困ります。だからSNSは今の私たちにとって必要なものです。でも、使い方を少しでも間違えてしまうと学業に対して向き合いが悪くなり、人との交流でも問題が起きて、いじめなどが起こってしまいます。私は学校でのSNSのルールやどんな問題が起こるのかということが改めて深く理解できました。これからもSNSに対しての考え方や使い方に注意を払っていきたいと思います。」
・「今回法教育の話を聞き、体験できたことをうれしく思います。私たちは普段生活する中でさまざまな場面で法律やルールといったものと関わることが多々あります。しかし、そういった場面でも法などについて深く考えたことはほとんどありません。だからこそ今回の授業を通して少しでも法について学ぶことができ、よい経験ができたと思います。また、法がどれだけ大切かを改めて認識できました。私たち自身でルールを決める体験をし、今ある法律やルールなどがどれだけ大切かを体験しながら知ることができ大切さを実感できました。今回の体験を忘れずにすごしていきたいと思います。」
・「私は法教育を聞いて、ルールで人をしばることのむつかしさを感じました。まず学校の校則としてSNSをどのようにするかというグループ活動をしました。私が考えているよりもルールを作るのははるかにむつかしく難航しました。結局は今いる学校の校則と同じようなものしか考えつかず非常に悔しかったです。しかしルールの作成のむつかしいことを体験して、非常に良い経験になりました。」
・「私は法教育につて2つ思ったことがあります。1つ目は憲法についてです。私たちは日本国憲法で動いているとわかりました。2つ目は授業でやったグループワークです。今回のタイトルは「学校でスマホを使っていいのか?」でした。私たちのグループでは2つの意見に分かれました。賛成の意見はルールをなくすとやりすぎて手がつかなくなる。反対の意見はルールを作るとストレスがたまるという意見がありました。私はこの法教育を聞いてルールをなくすかなくさないべきかは考え方が違うなと思いました。」
・「今日の法教育の授業の話を聞いて、以下のように思いました。法律は私たちの中で安全に安心に過ごすために必要なルールであり、それを守ることで社会がうまく回っていると再確認することができました。ですが、今回の授業のテーマである「SNS」を通じてルールは厳しくあることも大切ですが、厳しすぎると人々の反感を受けてしまうことがわかり、すべての人が納得し、守ることのできる法律やルールを作るのは難しいなと考えました。」
・「法教育の授業を受けていろいろな人がSNSのルールなどを作るのに試行錯誤していることを知りました。そして今回のグループでの議論では様々な情報が簡単に得られ、いろんな人とのつながりを持てるメリットよりも、自分たち中学生では顔を見ないでコミュニケーションをとることでの誤解によるいじめやフェイクニュースにさらされるデメリットの方が大きいという意見が多く出ました。またSNSに依存してしまうと大切な学修時間にも影響が出るという意見もありました。結論としては家族と話し合い時間制限を設け違反したら一定期間スマホを使用禁止としたり、中毒化したアプリを消去するなどのルールを作る必要があると考えました。」
・「私は法教育の授業を聞いていろいろなことを制限するルールを作ることのむつかしさとSNSのメリット、デメリットを学びました。授業で実際にルールを作ってみてさまざまな意見を取り入れてルールを作らなくてはいけなくて、どのくらい禁止するかやルールを違反したらどうなるかなどの細かいルールを決めることが難しかったです。法教育の授業を受けてたくさんのことを学べたと思います。授業をしてくれてありがとうございました。」
・「先日は法教育をしてきてくださりありがとうございました。法教育を通して学校生活である校則などのルールを守ることの大切さやルールがあることの大切さを知ることができました。また授業を通して普段使っているSNSのよい点だけでなく犯罪や詐欺に利用されてしまったり、ストレスになってしまう可能性があるということを知ることができ、SNSについてみんなで話し合いいろんな考えを知ることができました。これを機に普段の生活でもSNSの利用の仕方を見直していこうと思いました。貴重な機会を下さりありがとうございました。」

【担当した学生の感想】
・「この授業を通して法教育について学ぶことができました。中学生に教えるにあたって、自分達も試行錯誤することによって方に対する考え方などを学ぶことができました。また、中学生の意見を聞くことによって、若い者達の意見を知ることもでき、様々な意見の者がいると気付かされました。」
・「法教育ということで、法律を学ぶ大学生の普段の取り組み方や考え方を中学生に体験してもらうことは彼らにとても良い経験になったと思う。私たち自身も、どのように伝えて行くべきかなど授業を重ねるごとに試行錯誤し、これまでの学習で学んだことをより深く考え、準備し人に教えるということはとても良い経験になった。」