蛍光X線分析機器を用いてアルメニアの遺跡から出土した黒曜石石器の原産地推定を行いました

 文学部歴史学科考古学専攻の有村誠教授が研究分担者となっている科研費プロジェクト「国際協働による西アジア先史時代における交易品の産地同定と交易ネットワークの解明」(国際共同研究強化(B)・代表:筑波大学 前田修准教授)の一環として、有村教授がアルメニアで発掘調査を行ってきたレルナゴーグ遺跡出土の黒曜石石器の蛍光X線分析(XRF)を行いました。XRF分析により、黒曜石に含まれる微量元素が測定され、原産地を特定することができます。2月13日に、前田氏、池山史華氏(東京大学)、Stuart Campbell、Elizabeth Healey(以上マンチェスター大学)の分析チームが有村研究室を訪れ、持ち運び可能なpXRF機器を用いておよそ80点の黒曜石石器の分析を行いました。
 黒曜石は打ち欠くと鋭利な刃先が得られることから、世界中の先史社会において大変好まれた石材です。西アジアでは、その原産地はアルメニアやトルコに限られており、周辺のメソポタミアなどには原産地から様々な形で搬出されたことが知られています。XRF分析によって、石器の材料となっている黒曜石がどこから運ばれてきたのか明らかにできれば、古代の交換・交易のメカニズムや交易路の解明に大きく貢献できます。分析結果が待ち遠しいです。